語形成

2024年2月12日 (月)

競走馬名の由来 (2024.2.11)

2/11(日)、語学学習と競馬観戦のコラボ企画(主旨:言語学的に気になる競走馬名の由来を調べながらその馬を応援)の4回目をやっていきたいと思います。今回もJRAのHPにお世話になります。

東京4R新馬戦 ⑪バスティオン (Bastion):要塞。誰にも攻略を許さない圧倒的な存在になることを願って
個人的にbastionは初めての単語ですが、base (基地) と関連していると思われます。発音は[bǽstiən]ですが、USでは[bǽstʃən]とも。後者の発音ならSebastian's bastion (セバスチャンのとりで)でイケそうです(入れ子型の押韻)。結果は残念ながら10着(16頭中)。 

京都8R②サンライズプルート (Sunrise Pluto):冠名+冥王星。
2006年8月に惑星から準惑星に「降格」された冥王星。そのため、plutoが「降格させる」という意味の動詞(米・口語)にもなりました結果は1番人気を背負いましたが6着。「惑星から見る日の出」というつながりでは、ブルーサン (Blue Sun) という現役馬がいます。この馬名は、火星から見た朝日(夕日)の色が青いことに由来しています。

小倉11R⑧ファロロジー (Pharology):灯台学
⇒灯台学という学問を初めて知りました
。「明日をも照らす希望の光のような存在に」という願いが込められていそうです。結果は差のない10着(18頭中)。
珍しい学問名の現役競走馬としてはジェモロジー (Gemology: 宝石学) がおり、過去にはアンソロポロジー (Anthropology: 人間学) やトポロジー (Topology: 位相幾何学) がいました。

東京11R共同通信杯GIII ⑦パワーホール (Power Hall):入場曲名。
現役時代、革命戦士と呼ばれたプロレスラー「長州力」の入場曲。馬主は「スワーヴ」の冠号で有名な㈱NICKS。結果は、低評価(単勝151.2倍)を展開の利(超スローペースの逃げ)で覆して着。ちなみにサンダーストーム (Thunder Storm: 嵐、7戦0勝) が入場曲の天龍源一郎は、滑舌の悪さで長州力と双璧を成す存在

灯台学 (pharologyで思い出したのが研究社の英語辞典「ライトハウス」。LIGHTHOUSE(灯台)には、未知の英語の世界を照らすガイドのような意味が込められていると書いてあった気がします。後に、この辞典の編集に、NHK「基礎英語」でお世話になった小島義郎先生が携わっていたことを知りました。ちなみに-logy」は「~学」という複合語を作る接尾辞ですが、シンプルに言語や論理という意味で語形成に使われる場合もあります。紛らわしい例としては、mythology(神話(学))と misology(理屈・議論を嫌うこと <miso(嫌う)+logy(論理))があります。したがって、お味噌の学問の「ミソ学」は先客(後者)がいるため-logyを用いた単純な造語は厳しいかもしれません。

| | コメント (0)

2024年1月 8日 (月)

語形成の突然変異

SNSの発達もあり、新しい単語が言語やジャンルを問わず加速度的に生み出される時代になりましたが、新語の生成条件の1つには、大多数の人に受け入れられる発音の容易さ、語呂(覚えやすさ)、直感による分かりやすさなどが挙げられます(その意味では糖尿病の代替語候補=ダイアベティスは不利?)。さらに、歴史(文法)や文化(流行)などといった要素が世の中への定着を後押ししやがて辞書に載るのがサクセスストーリーですが、その過程では規則性よりもイメージが優先されることもあるため、語形成にはさまざまな「突然変異」が起こると考えられます。今回は、比較的メジャーな語形成パターンを題材にして、英語と日本語の比較も交えながら、興味深い新語生成の一端に触れていきたいと思います。

新古典複合語の語形成
古典ギリシア語や古典ラテン語を由来とする造語要素(古典造語要素)をつなぐことで新しい単語が形成されます。これは古語と古語の掛け合わせで新語を生み出す、いわば言語学上の「反転術式」です。学術用語(特に医学用語)に多くみられ、例えば、osteoporosis(骨粗しょう症)は古典ギリシア語の骨(osteo-)、孔(-poro-)、病態(-sis)から成り立っています。興味深いことに、造語要素のつなぎ目(語尾)は「o」となっていることが多く、最近では造語要素が現代英語の名詞や形容詞で「造語要素+接合辞(主にo)+造語要素」のように語形成される傾向があります(例:methodology (方法論)、sociolinguistics (社会言語学))。

イメージによる語形成
流行が規則性を超越すると突然変異型の語形成が生まれます。例えば、本ブログでも取り上げたことのある「~中毒の」という意味を与える接尾辞(もどき)は、元はalcoholic(アルコール中毒者)の後半部分がちぎれたもので、「中毒の対象+a (対象がa、oで終わる場合はナシ)+holic」のように新語を量産できます。また、鉱物系接尾辞の「-ite」は、発音の都合か元々語根の最後(の子音字)が「l」となる石が多かったためか「-lite」と異形化する場合(cyrtolite、iolite、roselite等)も多く存在します
。一方、日本語の変異例としては「アムラー現象」が挙げられます。つまり、シャネラー⇒アムラー⇒パフィラー、アユラー、マヨラーのように新語が生まれ、アムラーの強い影響で最終的にはラ行で終わらない対象にもラーを付ける「変異」が起こっています。これらはいずれもイメージ重視による語形成です。

②を書き終わった後、過去記事を読み返していたら Green Wedding の復習 の最後に似た内容(vegetable⇒vegetarian)を見つけてびっくり。今回、実に16年を経て少しだけまとまった記事になりました。普段から考えていることはあまり変わってない?という説が濃厚ですが、記事の数も気づけば300近くになっているので、掘り起こし作業からの再発見や再考察も楽しいかもしれません。


Photo_20240116232201
ボクの名前はガンビー(サイヤ人)。

続きを読む "語形成の突然変異"

| | コメント (0)

2023年12月18日 (月)

便利な検索リスト

今回は(個人的に)便利な検索サイトを備忘録的にリストアップしてみました。とりあえず思いつくままに挙げていますが、この頁は随時更新していく予定です。

<英語全般>
・英英辞書サイトの串刺し検索→OneLook Dictionary Search
・英和・和英辞書の串刺し検索→weblio英和和英
・英和・和英辞書→英辞郎 on the WEB
頭字語・頭文字語略語の展開→Acronym Finder
略語生命科学分野)とその展開形の検索→Allie
・論文誌タイトルの省略形の検索→CAS Source Index (CASSI)
転綴(てんてつ)語の作成→アナグラム
脚韻の検索→RhymeZone
タイトルケースの適用→HEADLINE CAPITALIZATION
レトロニムのリスト→List of retronyms

<日本語史>
・語源・由来→語源由来辞典

<症例>
・恐怖症リスト→The Phobia List

<趣味>
・競走馬名の由来→JRA登録馬リスト馬想家からの手紙

Pc

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2023年11月13日 (月)

領域展開「Illegible」

『領域展開「無量空処」』ならぬ「Illegible」で「文字列を判読できなくする」という術式が付与された領域内では、単語が難解になればなるほど経験や勘による理解ができなくなるかわりに、単語の文字列を微視的に捉えて本来の意味や成り立ちを透視する感覚が研ぎ澄まされる。これはまさに『呪力』を言語力に置き換えた『反転術式』!・・・と「呪術廻戦」的な前フリが長くなりましたがillegible(判読できない)は語源的になかなかおもしろい素材です。分解するとこの形容詞は、il+leg+ible の3つのパートに分かれます。最初は形容詞の意味を変える接頭辞、真ん中はラテン語の動詞 legere(読む)由来の語根、最後は動詞を形容詞化する接尾辞で、各パーツは全てラテン系で統一されています。

Photo_20231116000601

①否定の接頭辞
il- は in- の異形で、否定・反対・欠如といった意味を形容詞に付与するラテン系接頭辞です(通常、ラテン系形容詞にはラテン系接頭辞がつきます)。in- は、直後の形容詞が lm (b, p, mで始まる単語の前では in- ⇒ im-)、r で始まる場合はil-、im-、ir- にそれぞれ異形化し、結果として ill-、imm-、irr- のように子音字がダブります(例:immediate=im+mediate (間接の) → 即時の、直近の)。ちなみに、アングロサクソン系の形容詞に否定の意味を付与するときにはアングロサクソン系接頭辞の un- をつけます(例:unhappy, unkind)。

【宿題】innocent: in+nocent(有害な、<古>有罪の)⇒ 無実の

②可能の接尾辞
-ible 動詞を形容詞化する接尾辞で(動作が)可能なという意味を付与します。直感的に -able の異形かなと思って調べていたら、慶大の堀田先生のブログで、接尾辞「-able」は形容詞の「able」とは別語源という衝撃の事実が発覚。つまり、-ible は -i- (連結辞)+ble に分解される→この連結辞は基体となるラテン語の動詞のタイプで決まる→不定詞が -are(第1活用)の場合は -a-(つまり語尾が -able)、それ以外の場合は -i-(つまり語尾が -ible)→第3活用のlegere(読む)には連結辞として -i- が選ばれる→ -able も -ible も動詞を形容詞化するだけで、元々「可能」の意味はなかった→ -able が形容詞のableと関連付けられて「可能」の意味を獲得→ -able の異形に見える -ible も後を追う→「動詞+ -able or -ible」で「~することが可能な」という意味の形容詞が量産された、というのが正解のようです。まさに事実は小説よりも奇なりです。ちなみに、酒井先生の著書には、連結辞が -a- になる動詞はゲルマン系、-i- になる動詞は(純粋な)ラテン系であるとも書かれていました。

【宿題】dissoluble (溶解性の): dissolve+uble ← 何系?

と、ここまでの説明は語幹の動詞にどんな接頭辞と接尾辞がつくのかという方向性でしたが、逆に、否定の接頭辞や可能の接尾辞を見れば基体となっている動詞がラテン系かゲルマン系(アングロサクソン系)かの区別がつきます。つまり、『領域展開「Illegible」』で生まれた「正の」言語力を自らの『生得術式』(非母語話者のアプローチ)に流し込む『術式反転』で、単語の正体に関する情報が勝手に脳内に入ってくるわけです。例えば、動詞のsolveは、insolubleという形容詞があるのでラテン系だろう、そしてラテン系の連結辞には -u- もあるのか?、似た単語のdissoluble(溶解性の)はどう分解されるのか?などと思いをめぐらせると何だか楽しくなってきます。普段何気なくスルーしている単語も、「Illegible」の領域内で頭をリセットして向き合ってみるといろいろな発見があるかもしれません。以上、今回はこのブログのテーマの1つである「語源」を「呪術廻戦」的な視点で取り上げてみました(呪術廻戦の用語は『 』で示しました)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2023年9月18日 (月)

レトロニム

ある名詞Aについて、時代とともにその新しいタイプが広まったため、元のAを指すためにわざわざAに形容詞等を付けて説明(再命名)した言葉を retronym1980年に造語)といいます。このretronym、技術・芸術・思想などが加速度的にそれぞれ進歩・変化・多様化していく現代では量産傾向にあり、そろそろ専門辞書が編纂されていてもよさそうですが、英和辞書でretronymを引くと「レトロニム」と書いてあり、字訳以外の訳語はまだ決まっていないようです。

<日本語の例> 登場時⇒再命名の順、括弧内が生成理由
ウルトラマン初代ウルトラマン、初代マン(ウルトラシリーズのヒット)
携帯ガラパゴス携帯、ガラケー(スマホの普及)
チョコレートホットチョコレート(元は温かい飲み物→→固形チョコの普及)
ブレーンバスター垂直落下式ブレーンバスター(安全な改良型の普及)
八ツ橋焼き八ツ橋(元は焼き菓子→→生八ツ橋の普及)

<英語の例> 登場時⇒再命名の順、括弧内が生成理由
guitaracoustic guitar(アコースティックギター)(electric guitarの普及) ※発音注意!→アクースティク。
gymnasticsartistic gymnastics(体操競技)(新体操=rhythmic gymnasticsのオリンピック種目追加)

mailhard/snail mail(紙の郵便)(emailの普及)
ovenconventional oven(従来型のオーブン)(電子レンジ=microwave ovenの普及)
pandalesser panda(レッサーパンダ)(giant pandaの発見(1869年)と認知度UP)
・(tele)phoneland-line (tele)phone(固定電話)(携帯電話=mobile (tele)phoneの普及)

televisionon-air television(従来型のテレビ)(cable televisionの出現)

さて、retronymの訳語を造語するなら「再命名語」あたりが無難かと思いますが、言語学者の方々におかれましては絶妙なネーミング(dangling modifier=懸垂修飾語のようなw)を今後期待しております。よい訳語がひらめいた読者の方はぜひコメント欄までお寄せください!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2023年8月31日 (木)

Holic独立運動

元々はalcoholic(アルコール中毒者)から派生したとされる、「○○中毒」や「○○狂」を意味する接尾辞の「holic」が、ひそかに単語への独立運動を展開中のようです。

●AMERICAN HOLIC/アメリカンホリック
とある商業施設で見かけた婦人服のカジュアルブランドのお店。コンセプトは「アメリカのポートランドのようなナチュラルでヘルシーな感覚とニューヨークのトレンド感」とのこと。
Img_0021

Usa2 お店の看板を見たとき、星条旗のプリントTシャツを着た人をつい思い浮かべてしまいました。

「オレ=アメリカ」的なw

●Pie Holic/パイホリック
横浜みなとみらいにあるCalifornia Styleのパイ専門店。季節によってメニューが変わり、食べ放題コースもあります。店内は結構広くて、港の見える景色も良かったです。テラス席はワンちゃん同伴もOK。

Img_3057

ほかにも、みなさんの知っている「Holic独立運動」がありましたら、ぜひコメントをお寄せください!

| | コメント (0)

2009年5月23日 (土)

接尾辞「ery」

接尾辞の-eryは名詞や形容詞に以下のような意味を付与して新しい名詞を作ります。

製造所・販売所
bakery パン屋
beanery (安くておいしい)豆料理を出す店
boozery 酒場・バー
brewery 醸造所/ビール工場
distillery 蒸留酒製造所
eatery 食堂・飲食店
greenery 温室(緑樹栽培所)
lunchery 昼食を食べるところ
winery ワイン醸造所

異形:-ary、-atory、-atry、-ry
cemetery 墓地(Gk.眠る+場所<-tery>)
dormitory 寮(L.dormire=sleep)
laboratory 実験室(L.laborara=work)
library 図書館(L.liber=book)
observatory 展望台/天文台/気象台(<observe)

集合
confectionery 菓子類/菓子製造者
greenery 青葉・緑樹(集合的に)
machinery 機械類
stationery 文房具(※下記<まぎらわしい例>参照)
spicery 薬味類

異形:-ary、-atory、-ry
dictionary 辞書(diction=ことば使い,用語)
gadgetry 目新しい道具類
jewelry 宝石類
notary 公証人(note=書き留める)
pastry 小麦粉を練った菓子類(<paste「練り粉」)
 cf. パテシエ 《F》pâtissierはpastry chef
secondary 部下・補佐
secretary 秘書・書記・事務員(米では大臣・長官)
signatory 署名者・加盟国(sign=署名する)
summary 要約(※下記<まぎらわしい例>参照)
weaponry 兵器類

<補足>
(1)語幹の語尾-eは語形成の際に脱落する。
(2)-aryは「名詞から形容詞を作る接尾辞」の方がメジャー(※)。

(※)-aryを本(参考2の英語語形検索)で調べると、
[名詞→名詞:9例/形容詞→名詞:5例[名詞→形容詞:34例

<まぎらわしい例>
stationary(静止した)=station(位置)+ary
stationery(文房具)=station(持ち場、お店)+ery
 上記2つの発音は全く同一

summary(要約)=sum(合計)+(m)+ary
summery(夏らしい)=summer+y(形容詞化の接尾辞)
-arで終わる名詞(ex. grammar, seminar, scholar)は意外と少ない(byクリスさん)。学術系の単語に多い印象がある。

参考1. 連想式にみるみる身につく語源で英単語
参考2. ネイティブの「造語力」を身につける!

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2009年3月 8日 (日)

False Negative

 誤解のリスクを低減するために、false negative(偽否定)と呼ばれて注意喚起される接頭辞があります。その代表は「in-」です。このin-は元々ラテン語の接頭辞(あるいは単に単語の一部)由来で「~の中に、~の上に」という意味などをもっていましたが、ずっと後になって英語ではなぜか「否定の接頭辞」としても使われるようになりました。このため、両者が混在する現代では誤解が生じるわけです。
 日本語で考えると、例えば、「幸運」の対義語は「不運」ですが、「悪運」も間違いではありません。しかし、「悪運が強い」の悪運は「悪いことをする人の幸運」という意味で、「不運」とは別の言葉です。この場合の「悪」が偽否定といえます。
 ちなみに、「善心」の対義語は「悪心」と書いて「あくしん」と読みますが、悪心(おしん)と読めば「吐き気」を意味する別の言葉になります。

【false negativeの例
discharge (責務を)果たす(×chargeの否定=責務を課さない)
disseminate 普及させる(×seminare(L)の否定=苗を植えない)
dispart 分裂/分離する(させる)(×partの否定=1つにする)
dissoluble 溶解性の(×solubleの否定=不溶性の)
 *否定形はinsoluble 「不溶性の」
impart 分け与える/開示する(×partの否定=1つにする)
impassioned 情熱にあふれた(×passionの否定=冷静)
 *否定形はdispassionate 「冷静な」。
 
誤用だがimpassionateも「冷静な」として使われるケースあり(英辞郎)。
impeachable 告発すべき(×peach+ableの否定=密告すべきでない)
 cf. unimpeachableで「非の打ちどころのない」
indifferent 無関心の(×differentの否定=同じ)
infamous 悪名高い(×famousの否定=無名の)
inflammable 可燃性の(×flammableの否定=不燃性の)
 *否定形はnonflammable 「不燃性の」
ingenious 器用な・巧妙な(×geniusの否定=平凡な)
inhabitable 居住に適した(×habitableの否定=住めない)
irradiate (放射線を)照射する(×radiateの否定=(光/熱を)放射しない)

とくにinflammable を「不燃性の」と間違えると大変なことに!
 *in-とun-:明らかにラテン語起源ではない場合にはun-をつけることが多い(研究社英和大辞典1953)

参考:
<否定の接頭辞「in-」と語幹の結合規則>
の前→「im-」に変化(impossible等)
の前→「il-」、「ir-」にそれぞれ変化(irregular等)
つまり、mlr の場合 imm-、ill-、irr- と文字がダブります。

<注意したい否定の接頭辞>
interested ①興味がある、②私心のある の否定形はそれぞれ異なります。
uninterested 無関心な
disinterested 公平な
誤用だがdisinterestedも「無関心な」として使われるケースあり(英辞郎)。

unstudied (学んだのではなく)自然と身に備わった
 ex. unstudied charm 自然な魅力
 ⇔studied ①熟慮の上の②わざとらしい
 上記のunstudiedは②の否定形です。このように、もとの単語に「かくれネガティブ」的な意味がある場合には、その否定形が意外なプラスのイメージを持つので要注意です。

続きを読む "False Negative"

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2009年2月14日 (土)

discharge

次の名詞句は①、②のどちらを意味するのでしょうか?

discharge of the debt
 ①債務の免除
 ②債務の履行

語形成から考えると「discharge」(名詞)の意味は2つに大別できます。
chargeの逆の行為<dis(否定)+charge(様々な強制・束縛)
責務遂行/債務履行<dis(分解)+charge(責務・債務)

①の概念は一言で表せば「解放」。何から解放されるかでさまざまな意味になります。例えば、退院・除隊・解雇・放出・放電・発射などなど。上のクイズでは「負債状態からの解放」で「免除」になります。一方、②は、charge=強制・束縛の一形態である責務や債務を「分解」してなくすことから「責務の遂行/債務の履行」になります。つまり、クイズの答えは①、②のどちらも正解で、文脈によってまるで逆の意味になります。

●「動詞のdischarge」の場合には構文で①②の見分けが可能です。
①の構文
discharge someone from [of] the obligation/responsibility/debt
 義務責任債務から免除する
②の構文
discharge the [one's] obligation/responsibility/debt
 義務責任債務遂行/履行する

さて、②の意味のdischargeの語形成についてもう少し考察してみます。イメージ的には「責務・負債という塊を分解して終わせる」ですが、ちょうど、仕事という塊にへこみ=dentを与えるという意味の「make a (good) dent in ~ (仕事)が少し(大いに)はかどる」と概念がダブります。日本語(口語)の、仕事を敵に見立てた「仕事をやっつける」という言い方にも少し通じるものがあります。
ここで、②の「dis-」を否定の接頭辞と考えてしまうとまるで逆の意味の「免除(=①)」になってしまうことから、②のdischargefalse negative(偽否定)の1つといえます。似た例としては、dissoluble(溶解性の)があります。この「dis」も「分解系のdis」で物質が物理的に分解して溶ける様子を強調していますが、soluble(溶解性の)の否定だから「不溶性の」と考えてしまうと意味が逆になってしまいます。ちなみに、不溶性を表す形容詞はinsolubleとなります。

以上、dischargeの語形成についての私なりの解釈でした。

cf. 接頭辞「dis」の関連記事

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月13日 (土)

LOGY

「…学」を意味する接尾辞「-logy」
 一般に『学問の内容を示す)語幹+ology』となります。「o」は英語で複合名詞を作る「接着剤」で、この場合にはこのoに強勢が置かれるのが特徴です。その学問を研究する学者は「-ologist」となります。例は数限りなくあるので、今回は語尾が何となくかわいらしい音の「-cology」となる学問にフォーカスしてみました。

ecology 生態学
mycology 菌学
(舞妓学ではありません・笑)
oncology 腫瘍学
pharmacology 薬(理)学
phycology 藻類学
(綴りが心理学に少し似てます)
psychology 心理学
(-chologyですが発音が同じ)
toxicology 毒物学

最近では、ガン患者のメンタルケアを研究するpsychooncology(精神腫瘍学)という学問もあるそうです。

「~学」とならない「-logy」
 「-logy」はラテン語由来の接尾辞で、「言語」・「論理」といった意味を持ちますが、上述した「~学」は「論理」が特化・体系化した一形態です。一方、次に挙げる例は、「-logy」が言語や論理という概念そのものとして語形成に使われているものです。

cacology 言葉の誤用 <caco(悪・誤) *「カッコゥ(caco)悪い」と覚えます
eulogy 賛辞/追悼 <ラテン語eulogia (eu-よく+logia話すこと)
 *-logyの直前がoではないことで判別可能
misology 理屈・議論を嫌うこと <miso(嫌う)+logy(論理)
 *mythology(神話学)に似ているので注意。
tautology (無用な)類語の重複、トートロジー <tauto(同じ)
 ex. false lie, black darkness, Sahara Desert(=Deserts Desert)
terminology 専門用語/術語学

今日の一句↓
Misology goes with mythology.
神話学には議論敬遠が付き物。 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧