勘違い英会話

2008年5月24日 (土)

あさみとトム(erratic編)

もう何回も見ているシーン。営業のトムが仕事で失敗したのかうなだれて外回りから戻ってきました。同期のあさみは内勤で主にPCのシステムを担当。最近、トムとは勘違いの連続で気まずくなっていましたが、逆にトムへの好奇心は募る一方です。トムが例によって席を外すのを確認すると、ついに、あさみはトムの後をつけました。しばらく廊下を進んでいくとトムはトイレへ。しばらく廊下で待つあさみ。・・・5分・・・「な、長い・・・。ていうか私、何やってんだろ」。このまま見張るべきか・・・さて・・・と、あさみのピッチにコールが入りました。いつもPCをおかしくするドジ男・フランク(Frank)からです。

Frank: Something is wrong with my computer again. I need your help.
Asami: ...“O”“K”.(チッ。またFlunk「落第男」か)

仕方なく引き返すあさみ。30分ほどFrankのPCと格闘してから職場に戻ると、今度はトムの上司のグラナダ(Granada)が「トムはどこだ!」といらいらしてます。おまけに自分のPCもトラブったらしく、あさみが呼ばれました。あさみがPCをみている間、グラナダが話しかけます。

Granada: You know Tom is erratic. Where on earth is he?
Asami: er... I don't know. How can I know that?

グラナダ:トムは気まぐれなヤツだよな。彼は一体どこなんだ?
あさみ:え・・・知りません。知るわけないです。

今の会話、あさみの脳の中ではerratic(気まぐれ、[ae])→erotic(エロい、[a]) と変換されてしまったようです。確かにどちらもアクセントが第2音節だし、その母音が違うだけなので似ています。あさみは、何かトムの事情を知っていそうなグラナダの一言で混乱してしまいました。トムは席を立ってから1時間後に戻ってきました。まさかずっとトイレ?トムについてのキーワード、vagrant(放浪者), a small fortune(大金)にerotic?が加わり、あさみは自分の気持ちの制御に限界を感じ始めていました。

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2008年4月21日 (月)

あさみとトム(dirty look編)

あさみはwelcome matの一件以来、トムとまともに話をしていません。あの時、あさみはショックを受け、同時にかっとなった自分を抑えられずに引き返したのですが、今もこわいものみたさでトムのことがやはり気になるのでした。「放浪癖」、「a small fortune」、トムは絶対何かを隠している。しかしトムはかたくなに心を閉ざしたまま。あさみは職場で時間があるとついトムの方を観察してしまいます。・・・するとある日、トムはその視線に気づいたのか、あさみに一言。

Asami, don't give me a dirty look!

「え!?」。あさみは信じられませんでした。職場のdress code は基本的にフリー、内勤のあさみは普段から私服です。でもいつも無難に着こなしているつもりでした。それを「キタない身なりをしてくれるな!」ですって!あさみはトムをきっとにらみつけると部屋の外に出て行きました。

give someone a dirty look(人に嫌な顔をする/にらむ/怒った顔をする)
dirty look は凝視、怒った顔という意味。この場合、トムは冗談交じりに「あさみ、にらまないでよ。」と言ったつもりだったようなのですが、勘違いしたあさみが結果的に本当にdirty lookになってしまったというわけです。似た言い回しにugly look がありますが、こちらは「怪しいor険悪な状況・事態/腫れぼったい顔」となります。

数日後、あさみの会社のPCにメールが届きました。トムから同期の飲み会のお知らせでした。「あんなこと言っておいて、なんて無神経な・・・」。あさみはトムがますますよくわからなくなっていましたが、飲み会と聞いて断るあさみではありません。これまでのうっぷんをお酒の力を借りて晴らすべしと、二つ返事でOKするあさみなのでした。

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2007年12月15日 (土)

あさみとトム(Chris編)

とある日の夜、あさみは一人残業を終えて帰るところ、トムのデスクのすぐ脇のゴミ箱に小さな紙切れが捨てられているのが目にとまりました。何となく胸騒ぎのしたあさみは、その紙を拾い、そこに書かれたメモを読んで愕然としました。

“Give me a small fortune.” Chris

あさみの理解はこうでした。『「少しお金をちょうだい ― クリス」って・・・何なのよ。なんかよくわかんないけど、とにかくトムには訳ありの女友達がいる・・・』。
あさみの勤める商社は外資。当然、社内に外国人も多く、クリスといっても、秘書課のクリス(クリスチーヌ)なのか、総務課のクリス(クリスチーナ)なのか・・・あるいは単にお互いだけがわかるニックネームなのか・・・あさみは悶々としながら帰宅の途についたのでした。

a small fortune 大金・一財産(ビジ英07.12月号,p.14,26)
 fortune(財産)自体が大金のため、smallがついてもやっぱり大金。

 Dressing well doesn't have to cost a small fortune.
 身なりをきちんとするのに必ずしも大金がかかるわけではない。

 さて、あさみは帰宅後、同居している姉に今日見たメモのことについて聞いてみることにしました。あさみの姉クリスは冷静沈着、英語も堪能でいつも頼りになりますが、トムのことを話すのはこれが初めてでした。クリスが解説します。
「そのメモは、直訳すれば『大金をよこせ ― クリス』なのよ。本当だとしたら、尋常じゃないわね。でも会社内でメモに書くようなことかしら?このa samll fortune は他の何か別のものを指しているような気がするけど。」
クリスはあさみの心を見透かすように続けます。
「あと、このChrisは女性とは限らない。私もクリスで女だけど、クリストファー(Christopher)のChrisで男性かもしれない。」
「あっそうか。クリス・ペプラーも男だもんね。」あさみはクリスの話を聞き、一瞬心がすーっと解放されるような感覚を覚えました。しかし、仮にそうだとしても・・・あのメッセージの意味は一体・・・。トムにまつわる謎はますます深まっていくのでした。

男女で発音が同じ(似た)人名
 ビジ英(12/14,15)の「あんな時、こんな時」は「つづりを尋ねる」がテーマで、「問題」ではショーン・リトル(男性)という名前が話題となっていました。
チャーリー
 ①Charlie 男性←ウソ(lie)をつくのは男性の方と覚えます(笑)
 ②Charlee 女性
クリス
 ①ChrisChristopher 男性 ex..Chris Peppler 
 ②ChrisChristina, Christine 女性 ex.. Chris Matsushita
ジーン.(ビジ英06.6月号,p.36)  
 ①Gene 男性 *Eugene (ユージン)の愛称としても
 ②Jean 女性
ジョン/ジョーン
 ①John 男性 [an]
 ②Joan 女性 [oun]
ショーン(ビジ英07.12月号,p.31)
 ①Sean 男性 ex.. Sean Connery(ショーン・コネリー)
 ②Shawn 女性
 ③Shaun 男性(の傾向)

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2007年12月 8日 (土)

あさみとトム(番外mat編)

とある休日、あさみは同期名簿の住所を頼りに、思い切ってトムのマンションを訪ねました。「ダ・ヴィンチ・コード」のお返しにと、以前トムが見逃したと言っていたドラマ「のだめカンタービレ」の録画DVDを持ってきたのでした。ロビー入口で、あさみがインターホン越しにトムに話しかけます。

Asami: Knock, knock.
Tom: Who's there?
Asami: Asami.
Tom: Asami!? The welcome mat is always out for you.
Asami: .... [Sigh]

あさみは何も言わず、今来た道を足早に帰っていきました。あさみは今の会話をこんな風に理解していたようです。

あさみ:コンコン。
トム:どちら様ですか?
あさみ:あさみ。
トム:あさみ!? 君にはウェルカムマットをいつも外に放り出してるよ。
あさみ:(それって私は歓迎しないっていう意味だよね・・・)[ため息]

welcome mat is always out いつでも歓迎する
 日本の家屋では玄関のドアが室外に開き、欧米では室内に開きます。そのため、欧米ではウェルカムマットが玄関の外(out)に置かれるのが普通です。日本だと、靴を脱いで玄関に上がるときにマットがあったりするので「out」がどうもピンとこない、場合によってはあさみのように全く逆の意味にとってしまう恐れがあるかもしれません。

それでは、時間を巻き戻して仕切り直しです。

Asami: Knock, knock.
Tom: Who's there?
Asami: Asami.
Tom: Asami!? The welcome mat is always out for you.
Asami: I prefer a red carpet. [Laughter]

あさみ:コンコン。
トム:どちら様ですか?
あさみ:あさみ。
トム:あさみ!? 君ならいつでも歓迎だよ

あさみ:それなら(ウェルカムマットより)赤じゅうたんの方がいいな。[笑]

なお、red carpet はColorの編で取り上げました。アカデミー賞の授賞式や大統領の歓迎セレモニーといった場面が目に浮かびます。

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2007年12月 5日 (水)

あさみとトム(番外Tom編)

とある休日、トムは住所を教えられ、あさみのマンションを訪ねました。あさみに「ダ・ヴィンチ・コード」のDVDを貸す約束をしていたからです。オートロック式のロビー入口で、トムがインターホンであさみに話しかけます。

Tom: Knock, knock.
Asami: Who's there?
Tom: Hank.
Asami: Hank who?
Tom: Handkerchiefs. [Laughter]

この古典的名作ともいうべきknock-knock jokeを、トムがやると一味違います。なぜなら・・・トムの本名は、「ハンカチ王子」を地で行くTom Handkerchiefsトム・ハンカチーフス)、略して Tom Hanksトム・ハンクス)なのです(笑)。

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2007年11月28日 (水)

あさみとトム(right編)

(以下のストーリーはフィクションです)

あさみは、前回のようにトムが仕事中にフッといなくなるクセがどうしても気になっていました。たぶん、それはそっとしておくべき部分なのだと頭ではわかっているのですが、一体どこで何をしているのか? あさみは知りたい気持ちを抑えきれずに、自分がトムを尾行してしまう前に、まず同僚としてのアドバイスが先決だと心を落ち着かせ、トムに話しかけました。「トム、仕事中に時々どこへ行っているの?上司もあなたが捕まらないことが多いってイライラしているみたい・・・」。するとトムは・・・

Tom: Thank you for asking, Asami. Your heart is in the right place.
Asami: What do you mean by that?
Tom: [Sigh] My left hand doesn't know what my right hand is doing.
Asami: What? You mean you're right-handed?

トムはなんとも言えない表情で立ち上がり、左手を軽く振りながらその場を去りました。右とか左とか、何だかはぐらかされた気がしてちっともわかんないあさみがつぶやきます。「やっぱりアレしかないか・・・」。今の会話をあさみの理解した通りに訳すと以下のようになります。

トム:気遣ってくれてありがとう、あさみ。君の心臓は右側にあるんだね。
あさみ
:それってどういうこと?(心臓は普通左側よね、それってつまりあたしが人間味がないっていう冗談ってこと?)
トム:[ため息] 僕の左手は右手が何をしているかわからないんだ。
あさみ:何?右利きだってこと?

heart is in the right place(やさビジ1997年12月号)
 「やさビジ」本文では、上司がbossyだけど「気風がいい」という流れで使われていました。今回のトムの発言は「あさみはちょっとコワい面があるけど悪気があるわけじゃない」というニュアンスで使ったのかもしれません。

The left hand doesn't know .... (ビジ英10月号,p.52)
 ビジ英本文では、「the left hand and the right hand wreaking chaos(混乱をもたらしている右手と左手)」という表現が出てきました。このchaosの発音はイオスで、日本語の「カオス」とはだいぶ違いますね。

それでは、時間を巻き戻して仕切り直しです。

Tom: Thank you for asking, Asami. Your heart is in the right place.
Asami: My heart is on the left side in the chest, though. [Laughter]
Tom: Right. [Laughter] My left hand doesn't know what my right hand is doing.
Asami: Oh? You're ambidextrous, aren't you? [Laughter]

この会話を日本語に訳すとジョークではなくなってしまうのですが、説明付きであえて訳してみます。

トム:気遣ってくれてありがとう、あさみ。やさしいんだね。
あさみ:
(ハート=心がright placeにある、に対して)ハート(=心臓)は胸の左側だけどね。[笑]
トム:たしかに。
[笑] 自分でも自分が何をしているのかわからないんだ。
あさみ:
(左手が右手のすることについていけない、と解して)あれ? トムって両利きじゃなかったっけ?[笑]

こうしてあさみとトムはスムーズに本題へと入っていきました・・・。

さて、現実のあさみは悩んでいるようです。トムとどうもしっくりいかないのは、自分の英語力に問題があるのか、それとも自分の激しい勘違い癖のせいなのか?あさみはしばらく考えた末、つぶやきました。「こういう時はやっぱり・・・」

To be continued...

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2007年11月18日 (日)

あさみとトム(束縛編)

(以下のストーリーはフィクションです)

トムはつい先ほど商談で失敗し自虐モードに入っています。同僚のあさみはいつも気になっていました。というのも、トムが仕事でヘマをした後は、仕事中でも1時間くらいどこかへフラッと行ってしまうクセがあるのです。今、まさにトムが立ち去る瞬間でした。あさみは思い切ってトムに尋ねます。

Asami: Tom, where are you going?
Tom: I must resign myself to my fate. Color me vagrant, Asami.

Asami: Mind if I tie you up?  I don't want to leave you anymore.

トムは目を丸くして足早に立ち去りました。あさみは前回失敗したleave の使い方を気をつけたつもりだったのですが・・・。今の会話をお互いが理解した通りに訳すと以下のようになります。

あさみ:トム、どこ行くの?
トム:会社を辞めるのは運命だよ。(―聞き取れず―)、あさみ。
あさみ
:(イスに)縛っておいていい?これ以上ほっとけないわ。

あさみはトムに限らず、英語でしゃべるときはどうしても緊張してしまいます。それが逆に切迫感をかもし出しているようです。さらに、あさみはトムの「resign」を「会社を辞める」と誤解したため、最後にはつい語気も強くなってしまったようです。
前回のあさみの「ストーカー宣言」も手伝ってか、トムの内心はこんな感じです→「軽く流そうと思ったけど、あさみ、逆ギレしたのか?ていうか、あさみって緊縛癖もあったのか?・・・コ、コワい子だ・・・」
 ここで問題となった表現を挙げてみます。

①resign oneself to something ~を仕方なく受け入れる
 この場合のto は前置詞のため、something には名詞や動名詞がきます。
 He has resigned himself to resigning from his job.
 彼は仕事を辞職することを甘んじて受け入れました。

 ↑あ、期せずしてpun(反復型)になりました(No pun intended.)。

②Color me ~ 私を~と呼んで下さい(ビジ英)
 自分を少し自虐的に表現するときに使う表現です。「My middle name is ~」という言い回しもありました。また、vagrant は「放浪の/気まぐれの」という意味の形容詞で、名詞「放浪者」にもなります。-grantといえば、「移民」を意味するimmigrant(他国→自国)やemigrant(自国→他国)と語源が近いようです。ちなみに先日のサロンでは、語源が近いと思われるvagabond(放浪者)が話題となりました。これは、宮本武蔵を主人公にしたマンガのタイトル(バガボンド)にもなっていますが、なんとあの「天才バカボン」の語源でもあるそうです(アルク英辞郎)。

③tie+up/down の使い方(ものしり 07-11/2)
be tied up/down 縛りつけられている/身動きがとれない
tie someone up/down 人を縛りつける(upは物理的、downは比喩的
 
up とdown でまぎらわしいですが、個人的にはbe bogged down (沼地にはまって動けない→身動きがとれない)の比喩表現とdown が一緒と覚えることにします。

それでは、時間を巻き戻して仕切り直しです。

Asami: Tom, where are you going?
Tom: I must resign myself to my fate. Color me vagrant, Asami.

Asami: Mind if I tie you down?  I don't want to leave you anymore.

あさみ:トム、どこ行くの?
トム:これも運命だから仕方がない。さすらいのトムとでも呼んでくれ、あさみ。
あさみ:ちょっといいかな?これ以上あなたを一人にしたくないわ。

どうやらあさみもトムも思い込みが激しい性格のようです。ある意味、似たもの同士の二人ですが、今後も平行線のままなのでしょうか・・・??

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2007年11月10日 (土)

あさみとトム(leave編)

同じ会社に勤める同僚のトムとあさみ。ある日の夕方、商談に失敗してひどく落ち込んでいたトムがデスクでうつむいています。内心トムのことが心配でたまらないあさみが思わず声を掛けました。

Asami: I won't leave you alone after your leaving the company tonight!
Tom: What?

トムはあさみをびっくりした目で見つめています。一方、トムに見つめられてときめくあさみ・・・。さて一体今何が起こっているのでしょうか?今の会話を大げさに訳すと以下のようになります。

あさみ:今夜あなたが会社を辞めても私はあなたにつきまとうわ!
トム:何だって?
 

トムの内心はこんな感じでしょうか→「確かにオレ、今日商談に失敗したけど、別に会社辞めないし、ていうか、あさみってオレのストーカーだったわけ!?」

ここで、あさみのleave の使い方には問題があったようです。
not leave someone alone は「つきまとう
 「一人にしない・ほっとかない」の意味ではalone は余計です、と天願先生の「ものしり2006」で習いました→こちらもご参照下さい。

leave the company は「会社を辞める」 
 単純に「会社から出る」ならleave the office となります。(AERA English 12月号p.63)

それでは、時間を巻き戻して、仕切り直し。
Asami: I won't leave you after your leaving the office tonight!
Tom: Asami....

あさみ:今夜、会社が終わったら、あなたを一人にしておけないわ!
トム:あさみ...

 leave の使い方には十分ご注意を。ということで、あさみとトムの「勘違い英会話」はまた次回(笑)。

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