格闘技

2007年8月 4日 (土)

ボクシング

ビジ英L9のWord Watching でボクシング用語由来の「pull no punches(手心を加えない)」が解説されていました。これは、ボクシングの、pull one's punches パンチを引っ込める→手加減をする、の反対の表現で、現在では否定形が主流とのことです。
 また、4/21のビジ英、最初の見出し語「duke it out」は、2006年の6月の放送でクリスさんが「throw in the towel(降参する)」の解説時にボクシングつながりで紹介していました。
 このように、ボクシング用語から一般化した表現も意外に多いようです。以下、ボクシングに由来or関連する語句・表現を、ビジ英を中心にまとめてみました(括弧内はビジ英テキストのページ数)。

・be all over but the shouting 勝負あった
 *勝負の決着はついて歓声だけが残っているところから。but は「~を除いて」の意味の前置詞。
chuck/throw/toss in the towel/sponge (主語が)降参する<セコンドがタオルを投入して試合放棄する(2006年6月号p.48,53)
clinch ~を制する/勝利を収める/クリンチする(2006年6月号p.72)
down and out ノックアウトされて/窮乏して(Lisa先生ものしり)
duke it out とことんやり合う(<殴り合って決着をつける)(2007年4月号p.44,1st見出し語).
force/push/throw ~ out of the ring ~を競争圏外に追い出す
(straight) from the shoulder 単刀直入に *肩からすばやくストレートパンチを打つところから
hit/strike below the belt 反則をする(ベルトから下を打つのはルール違反)
(be) in the ring for ~ ~の競技に出ている
mouthpiece マウスピース/スポークスパーソン(2006年12月号p.18)
pull no punches 手心を加えない・手加減しない(2007年7月号p.53)
put one's dukes up 戦う準備をする
put someone down for the count (人)を打ちのめす
ringside seat 最前列席
・be saved by the bell 土壇場で救われて(bell=ラウンド終了時のゴング)
take off the gloves 本気で取り組む (<グローブを外して素手で殴る)
take ~ on the chin (冷静に受け止める/じっと耐え忍ぶ<アゴにパンチをもらう)
throw/toss one's hat in the ring (for~)(選挙/競争に)立候補する/名乗りを上げる(昔の賞金ボクシングの出場申込法から) *1912年、T. Roosevelt が使ったのが最初とされる(イデ由)。

boxing は「箱の材料、箱状のもの、箱詰め作業」の意味もあるので、boxing ring (ボクシングリング)は「箱状の輪」でちょっとしたoxymoron ですね。一方、相撲の土俵は文字通り、sumo ring でOKです。また、Boxing Day (ボクシングデー)と言えばクリスマス後の12/26(この日が日曜の場合は12/27)に郵便配達人/使用人など日頃サービスを提供してくれている人たちに箱に入れたギフト(Christmas box)を贈る日ですね。ボクシングをする日、ではありません(笑)。

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2007年1月20日 (土)

リベンジ

「リベンジ」という言葉がはやりだしたのはK-I のアンディ・フグ選手が活躍していた頃からでしょうか・・・。今日は今週のサロンで話題になったリベンジ関連についてまとめてみたいと思います。

「仕返しする」という意味の代表的な動詞にはrevenge avenge があり、revenge 個人的な憎しみ・悪意を動機とする仕返し、avenge は不正・悪事・圧迫に対して正義感からの正当な仕返しを意味する(英和中辞典/研究社)とあります。この説明からすると、日本語の「リベンジ」は正しく使われている気がします。以下、用法の注意点をまとめました。

avenge [something / somebody] on+[仕返しする相手]
・Hamlet planned to avenge his father. (ハムレットは父親のかたきを討つことを計画した。)
・Hamlet planned to avenge himself on his father. (ハムレットは父親に復讐することを計画した。)
 on のあるなしで大違い!これは要注意ですね。

revenge something とは言わない。
Oxford 現代英英辞典によれば、revenge は目的語として「人」のみをとることが「Grammar Point」として指摘されていました。

avenge、revenge はともに受動態でも使われ、しかも能動態と同じ意味になる。
 I will avenge myself on ~ → I will be avenged on ~(by myself は省略) と考えれば納得。再帰代名詞を省略できる分、受身形の方が好まれるのかも。おもしろい現象です。
・I will be revenged on him for my father's murder.
 私は彼に父親殺害の恨みを晴らすつもりだ。

revenge は名詞も同形、一方、avenge の名詞形はなぜか a が落ちてvengeance
名詞のrevenge、vengeance は無冠詞で、have, take, inflict, wreak などの動詞の目的語になります。

with a vengeance(やる気十分で)<ビジ英(1月号,p.44,with a grand passionの言い換え)
なぜか不定冠詞 a がつきます。無理やりavenge の名残とこじつけて覚えるのもいいかもしれません(笑)。

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2007年1月12日 (金)

格闘家・名前シリーズ1

road warrior 出張の多い企業戦士(ビジ英)
 全日本プロレスでも活躍したロード・ウォーリアーズ(Road Warriors:道行く戦士達)はアニマル・ウォーリアーとホーク・ウォーリアーの名コンビ。残念ながらホークは心臓の疾患で2003年に45歳という若さで他界。

raise hell 大騒ぎする(ビジ英'06.12月号,p.62,下から3行目)
 ヘル・レイザーズ(Hell-Raisers:うるさい奴等、という感じでしょうか)は前出のホーク・ウォーリアーとパワー・ウォーリアー(佐々木健介)のコンビで新日本プロレスで活躍したタッグチームで、IWGPタッグ王座のタイトルも獲得。

vandalism 故意の破壊行為(ビジ英1月号,p.122.No.10)
 バンダル族(the Vandals):5世紀にローマ文明を破壊したゲルマン民族の一種、が語源。 このvandal...の音を聞いてPRIDE のヴァンダレイ・シウバ(Wanderlei Silva)を連想するのは私だけでしょうか。シウバのファイトは相手を破壊するような荒々しさがあるので(笑)。

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2006年12月12日 (火)

avalanche

プロレスも英単語の宝庫ということで、先日のGHCの感想から。
 12.10武道館、ノアのGHCヘビー級選手権試合、さすがに丸藤の三沢超えはならず!しかし、天才同士のひらめきがぶつかり合う見事な試合で、こういうプロレスが今見られることは本当に幸せ。丸藤の三沢超えのためにはもうワンランク上の重い技のたたみかけが欲しいところだけど、短期間でウエイトを上げたためかジュニアとヘビーの間で技のスピードと重さのバランスがまだどっちつかずなのかもしれない。しかしそれでも三沢の再三のエメラルドフロウジョンを切り返しあと一歩まで追い込んだのはさすが。最後は三沢も勝負を決めにいったランニングエルボーをかわされ、奥の手「雪崩(avalanche)式のエメラルド」でピン。
 さてここで、プロレスファンでない方にクイズです。英語をヒントに以下のプロレス技をイメージしてみて下さい。
①ストンピング(stomping
②スパインバスター(spine buster) 
③カーフブランディング(calf branding

①は文字通り、横になった相手を足で踏みつける基本技。調べると、old stomping ground で(踏みならした)昔なじみのホームグランドという言い方があるそうです。
②はspine(背骨)を破壊する技(buster)ということで、相手の両足を持って相手の背中をマットにたたきつける技。ちなみに脊髄を意味する英単語は、spine の形容詞形=spinal を用いてspinal cord / spinal marrow。
③は子牛(calf)の焼印押し(branding)ということで、立っている相手の頭の後ろにひざを当てながら、相手をうつ伏せにマットに押し倒すという技。brand は動詞で「~に焼印を押す」の他に「~に汚名を着せる」という意味もあります。

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2006年10月21日 (土)

ボディスラム

 先日TVの「スポーツジャンク」で大横綱・千代の富士(現・九重親方)が現役時代に取った衝撃の相撲を取り上げていた。相手はつっぱりで鳴らした寺尾。いつものように立会いから容赦なしに顔面を張ってくる寺尾の攻撃をまともに受け続けた千代の富士が、ついにまわしを取ると土俵際に追い込み、半身になった寺尾をそのまま「送り出し」かに思われた。が、その瞬間・・・なんと寺尾を土俵内に引き戻し、高々と抱え上げてから、鬼のような形相で土俵にたたきつけたのだった!私はライブでTV観戦していたが今でもその衝撃が鮮明によみがえるほど。公式発表の決まり手は忘れてしまったが、あれは明らかに相撲の技の域を超えていた。あえて表現するならプロレスのボディスラム(body-slam)!当時、千代の富士はインタビューで「寺尾は土俵際でとてもしぶといから念には念を入れた」と答えていたが、今回の「スポーツジャンク」では「相撲取りは顔が命だから。捕まえたら何かしてやろうと思っていた。」と笑って本音を話してくれた。その後の2人の対戦で寺尾がどう立ち会ったかは定かではないが、そのあたりの心境を寺尾にもぜひ聞いてみたいところだ。
 *body-slam (動)大打撃を与える slam は「強くたたきつける」「厳しく非難する」

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