セットフレーズ集

2009年2月 8日 (日)

Devil(revised)

devilには次のような比喩的意味があります。

ひどくイヤな物事
(the) 一体全体(強意)
奴(やつ)

以下にdevilを用いる表現をまとめてみました。

<語句編>
between the divil and the deep (blue) sea 進退きわまって
 (*語源は船舶関係)
・(the) devil and all 何もかも全て
・(the) devil (and all) to pay 後の災い(*語源は船舶関係)
devilfish(=octopus) タコ(動物学)
devil for ~狂で
devil-may-care 向こう見ずな
devil of a 鬼のような~(大量の、ひどい)
・(play) devil's advocate あえて反対・忠告を言う人(になる)
・(the) devil's tattoo 衝動的に指や足先でコツコツすること
devil's tongue こんにゃく/葛
Devil's Trill sonata 悪魔のトリル(Tartini作曲のVnソナタ)

<文章編>
Be a devil! (英)思い切ってやってみなさい!
Devil did it. 魔が差した。
The devil take the hindmost. (英古)早いもの勝ち。
 (直訳:悪魔が一番後ろの人を捕まえる)
Devil take it! 畜生!

最後に、devilを使ったプチpunを作ってみました。

弟子達を集めテーブルで議論を始めたアリストテレス。しかし、今日は弟子達の反応があまりよくありません。いらだったアリストテレスの様子は・・・

Aristotle beat the devil's tattoo.
 アリストテレスは指先で(テーブルを)コツコツたたいた。

(the) devil's tattoo は、(いらだちや興奮で)床などを足先でタンタンタンタン・・・と鳴らす場合にも使い、ちょうど日本語の「貧乏ゆすり」に相当する(新英和中辞典第5版・研究社)との記載もありました。Aristotleの発音[rsttl ]は日本語とだいぶ違うのでこのpunで覚えられればと思います。

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2009年1月 4日 (日)

Redundancy(重言表現)

pleonasm 冗語(法)
同義語・類語の反復による強調表現、またはその手法。古来より聖書や賛美歌で使われ、現代でもイディオムや専門用語によく見られます。

aches and pains うずきや痛み
advice and counsel 助言と忠告
advice and guidance 助言と指導
agreed to and accepted 受諾される
 
anything and everything 何かも全部
books and records 帳簿類
each and every 一人ひとりの
friends and acquaintances 一周囲の人々
hard and fast 厳重な・絶対動かせない
 *文字通り「激しく速く」の意味のときもある
huff and puff 憤慨して話す・息を切らす
 
*huffもpuffも「ふくれる=怒る」
HIV virus エイズウイルス
 *HIV=human immunodeficiency virus
It ain’t over till it’s over. (本当に)終わるまで終わりじゃない。
pins and needles (脚などが)しびれてピリピリする感覚。
 *on pins and needles しびれて/(不安で)やきもきして
long and lax (手紙や演説が)長くて要領を得ない
rules and regulations 規則
Sahara Desert (=Deserts Desert) サハラ砂漠
terms and conditions 契約条件
(last) will and testament 遺言書

とくに、HIV virus、ATM machine、LAN networkなどのtautologyは、
RAS syndrome(=Redundant Acronym Syndrome syndrome)と呼ばれています(注:厳密に言うと、HIV、ATMはアルファベットをそのまま読むのでacronymではなくinitialismです)。
cf. 名は体を表す

ここで、「pleonasm」と「tautology」の関係は以下のようになると思います。
pleonasm=intentional tautology
tautology=accidental pleonasm

reduplication 音の重複
単純な音の繰り返しを含む表現。親語(parentese,親が幼児に話しかける時の言葉)などによく見られます。例は数限りなくありますが、もし、音の重複が語頭や語尾にあればrhymeになります。

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2007年10月10日 (水)

いちかばちか

日本語で勝負の覚悟を表す表現に「いちかばちか」、「のるかそるか」、「食うか食われるか」など、状況に応じていくつか言い回しがあります。一方、英のブックメーカーや米のラスベガスなどに代表されるように、日本よりもギャンブル色が濃い?英語圏では、やはりいろんなバリエーションの英語があるようです。それらを集め、場合分けしてまとめてみました。面白いことに、そのほとんどが韻を踏んで歯切れのよいセットフレーズになっていました。いざ勝負の時、景気よくがんばろうというpositive thinking の表れでしょうか。

「運を天に任せる」系
all or nothing 全部かゼロか
boom or bust にわか景気か不景気か→はやりすたりの
hit or miss あてずっぽうの

サバイバル系
do or die やるか死ぬか
dog-eat-dog 骨肉相食む
kill or cure (薬が)患者を殺すか治すか
make or break 成功か失敗か
sink or swim 沈むか泳ぐか
win or lose 勝つか負けるか

駆け引き系
take it or leave it (it=提示した条件を)受けるか否か
 *命令形で相手に決断を迫る
now or never 今でなければ二度とない
 *行動を促す表現。It's now or never.(またとないチャンスだ)

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2007年7月 1日 (日)

「色+名詞」型のセットフレーズ(強勢の問題)

先日の大杉先生のものしり講座で、「色を表す形容詞+名詞」のパターンは、それが特別な意味を持つ決まりフレーズになる場合には、通常、「色」の方を強く発音すると説明されていました(greenhouse, the White House, etc.)。
でも、ふと、2005-2006年度ものしり語法塾で松本茂先生が、white elephant (無用の長物)のélephant をしっかり発音していたのを思い出しました。よく調べてみると、「色+名詞」のセットフレーズの発音パターンは辞書によってかなりばらつきがあるようですが、基本的には以下のような傾向がつかむことができました。

 強勢の関係を式で表すと、
●一般に、色≧名詞
●固有名詞化 or 1つの品詞に転化している場合は、色>名詞
 *
品詞として両者が独立している場合で、色>名詞となる例は限られている。

例として、これまでに「Color」のカテゴリーで取り上げた表現を中心に強勢パターンをまとめてみました。

ex.) 
blácklist ブラックリスト(に載せる)
bláckmail 脅迫(する)

blúeberry ブルーベリー
blúe cheese ブルーチーズ
blúe ríbbon 最高栄誉賞

gréen gíft 環境に配慮した贈り物
gréenhouse (まれにgréen houseと表記) 温室
gréen líght ゴーサイン
gréen-light ゴーサインを出す

réd cárd レッドカード(違反・退場の指示)
réd cárpet 丁重な扱い
rédeye(red-eye) 夜行便/安物のウイスキー
réd hérring 人の注意をそらすもの・デマ情報
réd tápe お役所仕事

pínk élephant(s) 酔っ払いの幻覚(しばしば複数形で)
pínkeye 流行性結膜炎・はやり目
pínk slíp (米口)解雇通知/自動車運転仮免許
pínk-slip (米口)vt. 解雇する

whíte bréad 面白味のない人・退屈な人
whíte élephant 無用の長物・やっかいもの
whíte hópe 大いに期待される人
・the Whíte House ホワイトハウス(米国大統領官邸)
whíte kníght 救世主/企業買収を救済する出資者
whíte líe 悪意のない嘘/社交辞令
whíte paper 白書(whíte páper とも)

yéllow cárd イエローカード(警告)

結論として、「色を表す形容詞+名詞」のセットフレーズの場合は、「色」にしっかり強勢を置いて発音しましょう、ということですね。

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2007年5月 1日 (火)

Simile(直喩)-(as) A as B-

セットフレーズのパターンの1つに直喩simile ←ラテン語で「似ている」 cf. ファクシミリ facsimile=fac(作る)+simile(似ている))があります。しかし、この直喩、nonnative にとってはしばしば隠喩metaphor)のように感じることもあります(笑)。今回は直喩の中でも一般的な「(as) A as B」型のフレーズをまとめてみました。これらのうち約三分の一は何らかの形で韻を踏んでいました。なお、最初の as は落ちることもあります。

(注)$:ビジ英既出、( )内は掲載巻号、#:難しめ

as alike as two peas in a pod うり二つで
 *エンドウの鞘の中の2つの豆
$as American as apple pie とてもアメリカらしい
 =all-American (全米一の優秀選手・チームの形容詞から)
$as big as a battleship とても太って
#as bold as brass 実にあつかましい
*ギリシア/ラテン語の金属=力・意思の固さの象徴
$as busy as a bee/beaver とても忙しい
cf. busy bee 忙しい人、働き者
#as dead as a dodo すっかり廃れて、時代遅れの
 *dodo =ドードー(絶滅した鳥)
#as dead as a doornail 完全に死んで(由来は諸説あり)
$as different as night and day 雲泥の差で
#as drunk as a fish/mouse/skunk etc. 泥酔して
 *fish(可算):大酒飲み。他の比喩はこちら
#as dull as dishwater 実につまらない
 *食器を洗った後の汚水。dishwater だけで「中身の薄い話」
#as easy as falling off a log とても簡単な
 *人が丸太から落ちるのと同じくらい簡単
 cf. sleep like a log 死んだように眠る
as fast as a jackrabbit とてもすばやい
#as fast as greased lightening 電光石火で
$as fit as a fiddle 明朗快活で *fiddle=ヴァイオリン
as flat as a pancake/a carpenter's dream まっ平らな
as free as a bird 自由気ままで
#as fresh as a daisy 元気はつらつとして
#as funny as a crutch 全然おもしろくない *crutch=松葉杖
as gentle as a lamb とてもおとなしい・従順な
as good as gold とてもよい/(子供などが)行儀がよい
$as happy as a clam (in the mud/at high tide)/
 *泥の中や高潮の時には貝を捕食する天敵が近づけないことから
as happy as a lark/sandboy とても陽気で
 *lark=ヒバリ, *sandboy=砂売り小僧、その他の例→こちら
as happy as a pig in clover とても幸せで
 *clover の生えた牧草地=家畜のえさが豊富で幸せ
as hard as nails とても硬い/頑健な/情け容赦なしの
as high as a kite 泥酔して *凧がフラフラする様子から?
as hungry as a bear お腹がペコペコで
 *冬眠(hibernation)から覚めたクマのイメージ。
as innocent as a lamb 純真無垢な、無邪気な
as innocent as a kitten 若い、うぶな
as light as a feather とても軽い
as long as one's [your] arm (文書等が)やたらと長い
as mad as a hatter 全くいかれて/ひどく怒って
 *由来は諸説あり
$as mad as hell/a hornet ひどく怒って
as mad as a March hare 狂気じみた/気まぐれな
 *「不思議の国のアリス」由来
as meek as a lamb とても忍耐強い
as merry as a cricket とても快活で
 *cricket =こおろぎ
as much fun as a barrel of monkeys 最高に楽しい
 *比較級(more fun than ~)も使う。語源は不明。
as naked as a jaybird 素っ裸で *jaybird=カケス
as neat as a pin こざっぱりとした
 *同型のpin(部品)が大量生産されるさまから
as nervous as cold water in a hot pan (出演前で)ドキドキして
as nutty as a fruitcake 完全にいかれて、ひどく風変わりで
#as obstinate/stubborn as a mule とても頑固な
 *mule =ラバ
as old as the hills とても古い
as pale as a ghost 色つやが全くない
as plain as day/daylight/pikestaff/rain 火を見るより明らかな
 *...as the nose on one's face とも(ユーモラスな表現)。
as pleased as punch とても喜んで(番組キャラクター由来?)
as poor as a church mouse 極貧で
$as poor as a pauper 生活に困窮して *pauper =生活保護者
as pretty as a picture (絵のように)とてもきれいな・とてもかわいい
as proud as a peacock (孔雀のように)大威張りで
as quick as a wink とても素早い
as quiet as a mouse とても物静かな(97-12月p.124)
as queit as the grave しんと静まり返って
as right as rain 完全に正しい/絶好調で
 *雨は天気予報に関係なく降る時は降る。だから雨は正しい。
#as scarce as hens' teeth 非常に珍しい
 *めんどりには歯がないことから
as sharp as a tack 頭の回転が速い、血の巡りがよい
$as shy as a mouse/fawn/squirrel
 とても内気な(07-4月p52) *fawn =子ジカ、squirrel =リス
$as sick as a dog ひどく具合が悪い(ビジ英07-4月p44,解説中)
as silly as a hyena 気ちがいじみて
*ハイエナ(hyena [haii':na])の鳴き声がそう聞こえるため。
$as skinny/thin as a rail ガリガリに痩せて
#as slick as a whistle とてもスムーズに・まんまと
as slow as a snail とても遅い
#as slow as molasses (in January) とても遅い
 *糖蜜(molasses:砂糖製造時の残液)は粘性が高く、注ぐのに時間がかかることから。
as sly as a fox 狡猾な
$as snug as a bug in a rug 居心地よくぬくぬくと納まっている
#as sober as a judge 極めて冷静で/全くのしらふで
as smooth/soft as a baby's bottom (赤ちゃんのお尻みたいに)とても滑らかで/とてもやわらかくて
$as smooth as silk とても滑らかで/実に巧みで(06-12月p.62)
#as sound as a dollar 実に健康・健全な
 *ドルが安定で健全な貨幣単位であるとされるところから。
as steady as a rock びくともしない
as strong as a horse/an ox とても力が強い
 持久力のある強さについて(09-8月p.85)
as strong as a lion とても強い
 瞬発力を備えた強さについて(09-8月p.85)
as thick as pea soup とても濃い
as thick as thieves とても親しい *泥棒は結託するから
#as tight as a tick しっかり締まって/とてもケチな/泥酔して
as tough as old boots とてもかたい
as trite as white bread ありふれていて面白くない
as ugly as sin 実に醜い
as warm as toast ほかほかと暖かい
as white as a sheet (顔が)真っ青で、血の気のない
as wise as an owl とても賢い

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2006年9月 6日 (水)

Others(その他)

※以前このページにリストアップしていたredundantな表現はこちらに移しました。

anecdotal evidence 個々の経験に基づく事例証拠
scientific/statistical evidence
bait and switch おとり販売(商法)
 *「えさ」と「むち打ち」 cf. bait and wait 餌をまいて待たせること
between a rock and a hard place 身動きがとれなくて/板ばさみになって
bill and coo 愛の言葉をささやき合う
bricks-and-mortar 従来型の(実店舗だけの)
cause and effect 原因と結果
clear and present (danger) 明白かつ現在の(危険)、今そこにある(危機)
close but no cigar 惜しくも当たっていない(賞品のタバコはもらえません)
 *close→ nice try とも
cut and dried あらかじめ用意された/月並みの
down at heels (down-at-heel) みすぼらしい
*「かかとのすり減った靴を履いて」が原義。
・(be) excited and nervous ドキドキワクワクする
family skeleton 家庭の事情・秘密
far and near 至るところ(に)*名詞的にも使える
far and wide 遠く広く、あまねく
fine and dandy 申し分ない(反語的にも使う)
 *「fine and 形容詞」で強調表現になる cf. 「nice and ~
 *brandy(ブランデー)の押韻俗語(dandyと脚韻を踏む)
flesh and blood 血肉・生身の人間/身内/具体性
for account and on behalf of ~ 《ビ》~名義の勘定で
fun and laughter 楽しみと笑い
 cf. God has brought me joy and laughter. (旧約聖書創世記21章)
fun and games お祭り騒ぎ、気晴らし
grin and bear 笑って耐える
・the here and now 今現在のこと
hue and cry 非難の叫び/犯人追跡の叫び声
hopes and dreams 希望と夢(日本語と語順が逆)
If you've got it, flaunt it. それ(持ち物/知識)をお持ちならお見せなさい。
ifs and buts 不平や言い訳/条件と異議
in form and substance 形式も内容も
kick(ing) and scream(ing) ジタバタ抵抗する(しながら)
kiss and ride 車で駅まで送り迎えしてもらう
knowledge and skills 知識と経験
life and passion 生き甲斐
・the life of the party パーティーの盛り上げ役
lost and found 遺失物預かり所/遺失物係
loud and clear 明確に(元々は通信用語)
mind/watch one's P's and Q's 言行に注意する
 *マナーとしてplease の p と thank you の音 q(=k+you)を忘れないようにすることから(イデ由No.490)。他由来多数。
more British than Great Britain 英国より英国的で
nickels and dimes はした金 cf. count ~ けちけちする
one and all 皆さん、全ての人
 *スピーチの呼びかけ。「Ladies and gentlemen,」よりも現代的。
on third thought 再三考えた末に(on second thoughtの強調形)
park and ride 車を駅周辺に駐車して電車を利用する
pros and cons 賛否両論 pro(賛成派)+con(反対派)
・the rank and file 庶民、一般社員
ride on the crest of the wave 上手くいく(<surfing用語)
be in seventh heaven 有頂天で
slash-and-burn 焼畑式の
smoke and mirrors トリック・奇策
soup-to-nuts 完全な/(食事が)フルコースの
stop and smell the roses 骨休めをする
・the straight and narrow 正しい生き方(マタイ伝から。元は最後にpathがつく)
straight dope 内報
take it or leave it (it=申し出に対して)受けるか否か(命令形で相手に決断を迫る)
trial and error 試行錯誤
wake up and smell the coffee 目を覚まして現実に目を向ける
Your guess is as good as mine. (相手の質問に対して)あなたがわからないのであれば、私にもわかりません。

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