競馬

2024年4月 1日 (月)

競走馬名の由来 (2024.3.24~31)

3/24(日)から31(日)にかけて、国内では春のGI開幕戦の高松宮記念と大阪杯が、ドバイではワールドカップを含むGI4戦が行われたこの一週間も、語学学習と競馬観戦のコラボ企画(主旨:言語学的に気になる競走馬名の由来を調べながらその馬を応援)の10回目をやっていきたいと思います。今回もJRAのHPにお世話になります。

3/24 中京11R高松宮記念(GI)ソーダズリング (So Dazzling):とても眩しい。
⇒-ingで終わる形容詞を副詞のsoで強めるパターンは社台RHの所有馬でときどき見かけます。昔、ほぼ同じ意味のソーグリッタリング (So Glittering: とてもきらびやかに輝く)やソーアメージング (So Amazing: 驚くほど素晴らしい)という馬もいました。さて、ソーダズリングは今回が
初のスプリント戦。結果は追走一杯の14着。次走のビクトリアマイル(GI)あたり?でのリベンジを期待しますが、府中のマイルは少し長い印象。

3/31 阪神11R大阪杯(GI)キラーアビリティ (Killer Ability):素晴らしい能力、才能。母名(キラーグレイシス)、一族名より連想。
⇒「killer」は米語の俗語 で「すごい(もの)」という訳語がピッタリの反語的な形容詞(名詞)です。というのも、日本語の「すごい」も古くは「恐ろしい」というネガティブな意味があった口語なので。そういえば、Queenの有名な楽曲「Killer Queen」では(人を悩殺するような)魅力的なという意味でした。恐怖から畏敬や魅力へと意味が変化した例は、ほかにも副詞の「awfully (すごく)」などがあります。さて、結果の方は残念な
15着(ブービー)。

さて、口語に多くみられる反語的用法は、近年進歩が著しいAI翻訳にとってなかなか厄介だと翻訳ソフトメーカーの営業の方に聞いたことがあります。何せ誤訳すると正解の真逆の意味になるので致命傷になりかねません。また、コンテクストを含むインプットデータが膨大になればなるほど、AIは良くも悪くも平均化されていき、専門的な分野への実用的な応用からは遠ざかるといった矛盾も生じます。広く浅くのゼネラリストを目指すならAIの活用が有効ですが、スペシャリストにとっては専門辞書と翻訳データの蓄積と利用に頼る日々がしばらく続きそうです。

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2024年3月18日 (月)

競走馬名の由来 (2024.3.17)

3/17(日)、年度末もすぐそこ、ばんえい競馬では最強馬決定戦「ばんえい記念(BG1)」が行われる本日も、語学学習と競馬観戦のコラボ企画(主旨:言語学的に気になる競走馬名の由来を調べながらその馬を応援)の9回目をやっていきたいと思います。今回もJRAのHPにお世話になります。

阪神4R①アスターディゴン (Aster Digon):冠名+二角形
二角形とは、球面幾何学において、2つの頂点と2つの辺からなる(平面に投影するとラグビーボールのような形になる)
球面多角形のことだそうです。レース(障害未勝利戦)の結果は大差(10馬身超の差)の着。多角形シリーズについては、同馬主が所有するアスターヘキサゴン (Aster Hexagon: 冠名+六角形)やアスターデカゴン (Aster Decagon: 冠名+十角形、登録抹消)、同馬主の夫が所有するカフジテトラゴン (Kafuji Tetragon: 冠名+四角形)、カフジオクタゴン (Kafuji Octagon: 冠名+八角形)、カフジエニアゴン (Kafuji Enneagon: 冠名+九角形)がいます。これらの馬は全て同世代(現5歳)で、出世頭はカフジオクタゴン(OP馬)。

中山10R⑭デュアリスト (Dualist):二元論の支持者
⇒二角形の次は二元論。母名のデュアルストーリー (Dual Story: 二つの同時進行する物語)からの連想も一役買っていそうな命名です。結果は8着(8人気)。一般的な二元論は、背反する2つの要素や原理(善と悪、保守と革新など)を使って
物事を単純化するのでわかりやすいですが、それ以上の思考を停止させてしまうリスクもあります。実際、世の中の事象はもっと複雑で、そこに課題がある場合は解決に全く別の視点が必要になることも。ちなみに、現役馬にラテラルシンキング (Lateral Thinking: 水平的思考。既存の常識にとらわれない自由な発想法)がいますが、なぜかいつも人気がありません(現在放牧中)。

中山12R⑥ダノンピーカブー (Danon Peekaboo):冠名+いないいないばあ
⇒いつからか、JRAの競走馬名に時々見かけるようになったピーカブー。通常、名詞としてはpeek-a-boo、形容詞のpeekabooは(服の生地が)透けた~という意味になります。結果はこちらも8着(8人気)。関連情報として、パッカパッカブー (Pakka Pakka Boo: 馬が走る音+いないいないばあ(ピーカブー)より)という現役馬もいますが、馬が走る(歩く)パカパカ(パッカパッカ)は英語でclip-clop(名詞・自動詞)だそうです。ちなみに、馬のいななきのヒヒーンはneigh [néi]。

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2024年3月11日 (月)

競走馬名の由来 (2024.3.10)

3/10(日)、春は旅立ちの季節、新規開業のJRA調教師さん達が初陣を迎えた今週も、語学学習と競馬観戦のコラボ企画(主旨:言語学的に気になる競走馬名の由来を調べながらその馬を応援)の8回目をやっていきたいと思います。今回もJRAのHPにお世話になります。

阪神2R⑩ジェニファー (Jennifer):ケルト語で美しき妖精に由来する人名より
⇒英語圏、特に米国で1970年代から1980年代初めにかけて大人気だった女性の名前(
そういえば、先日仕事でやりとりした方もJenniferさんでした)。馬名由来の「美しき妖精」は「白い精霊」と訳している文献もあり。結果は見事に着(4人気)。女性の名前オンリーといえば、昨年末の香港ヴァーズ(G1)を勝った Junko (由来は正確には不明) がいますが、こちらはセン馬(去勢馬)。

中山10R東風Sセッタレダスト (Thetta Reddast):うまくいくよ(アイスランド語)
⇒かなりレアなアイスランド語馬名。英語に訳すと「It will work out.」だそうです。結果は10着と振るわず。このレース、1着馬は以前に紹介したディオで、2着馬がノースザワールドという「ジョジョ馬券」
の決着。ちなみにこのディオ、直線に入ってからの体の使い方に躍動感が出てきており、この勢いなら重賞も十分狙えると思います。ライバルのセオにも頑張ってほしいところ。

中京11R金鯱賞(GII) ③ドゥレッツァ (Durezza):激しさ、厳しさ(音楽用語)。父名(ドゥラメンテ (Duramente:荒々しく、はっきりと(音楽用語)))より連想
⇒本馬は昨年の菊花賞馬。余裕を持ったローテで距離不足の今年初戦は、天皇賞(春)に向けての足慣らし。無理せず直線で外に出して着と上々の結果でした。同じ菊花賞馬でのちに春天を2連覇したフィエールマン (Fierement: 気高く、勇ましく(音楽用語))とイメージが重なります。個人的に今年の春天はドゥレッツァの圧勝と見ています。ぜひ最弱世代の汚名返上を!

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2024年3月 4日 (月)

競走馬名の由来 (2024.3.3)

3/3(日)、クラシック戦線も一冠目に向けてのトライアルが既に始まり、春のGIが待ち遠しい今日この頃です。ということで、語学学習と競馬観戦のコラボ企画(主旨:言語学的に気になる競走馬名の由来を調べながらその馬を応援)の7回目をやっていきたいと思います。今回もJRAのHPにお世話になります。

小倉2R⑩ダックアンドレイク (Duck and Drake):水切り遊び
⇒通常は「make [play] ducks and drakes」と使いますが、転じて、make [play] ducks and drakes of ...で「~を浪費する」という意味になります。結果は11着。ちなみに「A and B」のパターンの遊びといえば、
hide-and-seek(かくれんぼ)があり、ハイドアンドシーク (Hide and Seek) と名付けられた競走馬も過去にいました。

阪神4R⑩バラン (Baran):おひつじ座(ポーランド語)
⇒お弁当に入れる緑のギザギザ(
仕切り)のバラン(←何語?)ではなくて、星座のおひつじ座でした。バランで星と来ればアルデバラン (Aldebaran、おうし座のα星) を連想しますが、こちらの由来はアラビア語の「後に続くもの (Al Dabaran)」=すばるよりも少し遅れて日周運動している星で、語源的に関係なさそうです結果は6着。星関連の名前を持つ競走馬も結構いるかもしれません(パッと出てきませんが)

中山4R⑨エスカル (Escale):ストップオーバー(仏)。より高みへと進む。もっと先に目標がある
⇒プロスポーツ選手が区切りの勝利(100勝とか)のインタビューで「通過点です」と答えるシーンがよくありますが、そんなイメージの命名でしょうか。
結果は頑張った着(7人気)。ちなみに、仏語でエスカルと来ればエスカルゴ(escargot)を連想しますが、語源的には関連はなさそうです。

以前、当ブログでスペイン語とアイヌ語のハイブリッド馬名(ベルダーイメル)を紹介しましたが、今回はポーランド語の馬名(バラン)も登場し、馬名の多言語化が進んでいることを改めて実感しました。polalaさんのブログ記事では、そのトレンドがチャートで示されていて、(英語を除く)外国語由来の不動の1番人気はやはりフランス語、次位がイタリア語、その次にドイツ語、スペイン/ポルトガル語と続くそうです。polalaさんのブログのような、多言語学習の一環として競走馬名を取り上げるガチなブログはあまりないと思いますので、特に英語以外の言語にも興味がある競馬ファンの方にはおススメです。

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2024年2月26日 (月)

競走馬名の由来 (2024.2.25)

2/25(日)、今週は海外(サウジアラビア)で世界最高賞金レース「サウジカップ」が行われる週ということで、語学学習と競馬観戦のコラボ企画(主旨:言語学的に気になる競走馬名の由来を調べながらその馬を応援)の6回目をやっていきたいと思います。今回もJRAのHPにお世話になります。

阪神4R①ブリックワーク (Brickwork):レンガ造り
⇒偉大な父ブリックスアンドモルタル (Bricks and Mortar: レンガとモルタル) の作品はレンガ造りというシャレた命名
。結果は低評価(10番人気)を覆す着。ちなみに○○ワークという現役馬は、奇しくも同期にアートワーク (Artwork: 芸術作品)とサルヴェージワーク (Salvage Work: 海難救助作業) がいます。

中山6R⑧イージーブリージー (Easy Breezy):とても簡単な
⇒脚韻を踏んだ同意語からなる反復セット。
結果は、気の若さを見せながらも着。似たパターンの馬名としては、現役のサンデーファンデー (Sunday Funday: 楽しい日曜日) が挙げられます。ちなみにイージーを名に持つ現役馬は、本日中山7Rで2着に好走したイージーオンミー (Easy on Me: お手柔らかに) やスピークイージー (Speakeasy: 米国の禁酒法時代のバー) らがいます。

中山11R中山記念 (GII) ジオグリフ (Geoglyph):地上絵
⇒母の母がナスカ (Nasca)なので「隔世命名」。最強世代と呼ばれる現5歳で、あのイクイノックスを破って皐月賞を勝った馬。その後は連戦連敗で低迷中でしたが、今回
は復活を十分に予感させる着(4番人気)。ちなみに、1番人気で1歳下の皐月賞馬ソールオリエンスSol Oriens: 朝日(ラテン語))はジオグリフから半馬身遅れの4着。

さて、サウジカップは日本の総大将ウシュバテソーロUshba Tesoro山の名+冠名)が後方から会心の追い込みを決めた!と思ったところを、人気薄のセニョールバスカドール(米国、Senor Buscador: Mr. 探究者(西))が図ったように差し切る(アタマ差)という結末でした。さすがはダート競馬の本場=米国の面目躍如、層の厚さも感じられました。後日、セニョールバスカドールに斤量違反(規定より1 kg増で出走)が発覚しましたが、self-handicappingなので失格とはならず、実際の着差以上(おそらく1馬身以上と推定)に強かったことも判明しました。気を取り直して、ウシュバの次走はドバイワールドカップ(予備登録済)、ぜひ連覇を期待したいです。


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2024年2月19日 (月)

競走馬名の由来 (2024.2.18)

2/18(日)、今日は今年最初のGIレース「フェブラリーステークス」が開催される日ということで、語学学習と競馬観戦のコラボ企画(主旨:言語学的に気になる競走馬名の由来を調べながらその馬を応援)の5回目をやっていきたいと思います。今回もJRAのHPにお世話になります。

東京2R⑥ニシノコルベット (Nishino Corvette):冠名+快速艦
⇒corvetteの
発音は[kɔrvét]。corvetteの綴りを見てなぜかcommittee (委員会)を連想しましたが、どちらもフランス語由来の説があったので妙に納得。結果は流れに乗る先行策で見事に着(6番人気)。

京都10R③セオ (Theo):男子名。父名(スピルバーグ)からの連想(管理人注:スピルバーグ監督の息子の名)、ディオ (Dio):神(伊)

⇒出走表を見ておもわずニヤリ。Theoはギリシア語由来の「神」、Dioはイタリア語の「神」。この2頭が隣り合って神対決。実は1度対戦(その時も隣同士)があり、その時はセオが1着、ディオが2着。今回の結果は・・・ディオが1着でリベンジ、セオは3着。JRAの実況もかなりアツかったです。

東京11RフェブラリーS (GI) アルファマム (Alpha Mom):リーダー格のママ
アルファ=α (alpha) を名詞Nの前に付けると第一位のNという意味になります。例えば、1つの星座の中で最も明るい星はα星、猿の群れで最も強い雄はαオス(俗語のボス猿は誤解を招くおそれがあり学術的に推奨されないとのこと)ですアルファマムはいろんな意味で強そうですが、結果は10着。近年稀にみる超ハイペースの消耗戦決着で大外枠も厳しかったようです。

フェブラリーSは日本ダート界(マイル)の頂点を決めるGIレース。今回のレースの大きなポイントは、(i)真のトップ層が不在(1週間後の海外GI サウジカップ出走)、(ii)人気馬が気性難、という点。まず(i)の背景から芝路線組を含む各陣営のヤル気が倍増、芝スタートから加速した逃げ馬⑮ドンフランキーの異常なスピード、その番手で4頭の先行馬が激しくポジション争い、これが空前のハイペースを生みました。レースが流れると(ii)の気性難は自然解消される(人馬が折り合う)こともありますが、1番人気の⑤オメガギネスにとっては、道中で進路カットや接触を伴う消耗戦。レース経験の浅さ、テン乗りも災いしたのか直線で早々に失速。一方、2番人気の⑭ウィルソンテソーロも、レース前のイレコミによる体力消耗、オーバーペースの番手でよく粘りましたが、ラスト2ハロンで徐々に後退。結局、人気と連動しづらい終始一貫したタフさが問われるレースとなりました。結果は、三連単の配当が153万円超の大波乱。的中した皆様、おめでとうございます!

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2024年2月12日 (月)

競走馬名の由来 (2024.2.11)

2/11(日)、語学学習と競馬観戦のコラボ企画(主旨:言語学的に気になる競走馬名の由来を調べながらその馬を応援)の4回目をやっていきたいと思います。今回もJRAのHPにお世話になります。

東京4R新馬戦 ⑪バスティオン (Bastion):要塞。誰にも攻略を許さない圧倒的な存在になることを願って
個人的にbastionは初めての単語ですが、base (基地) と関連していると思われます。発音は[bǽstiən]ですが、USでは[bǽstʃən]とも。後者の発音ならSebastian's bastion (セバスチャンのとりで)でイケそうです(入れ子型の押韻)。結果は残念ながら10着(16頭中)。 

京都8R②サンライズプルート (Sunrise Pluto):冠名+冥王星。
2006年8月に惑星から準惑星に「降格」された冥王星。そのため、plutoが「降格させる」という意味の動詞(米・口語)にもなりました結果は1番人気を背負いましたが6着。「惑星から見る日の出」というつながりでは、ブルーサン (Blue Sun) という現役馬がいます。この馬名は、火星から見た朝日(夕日)の色が青いことに由来しています。

小倉11R⑧ファロロジー (Pharology):灯台学
⇒灯台学という学問を初めて知りました
。「明日をも照らす希望の光のような存在に」という願いが込められていそうです。結果は差のない10着(18頭中)。
珍しい学問名の現役競走馬としてはジェモロジー (Gemology: 宝石学) がおり、過去にはアンソロポロジー (Anthropology: 人間学) やトポロジー (Topology: 位相幾何学) がいました。

東京11R共同通信杯GIII ⑦パワーホール (Power Hall):入場曲名。
現役時代、革命戦士と呼ばれたプロレスラー「長州力」の入場曲。馬主は「スワーヴ」の冠号で有名な㈱NICKS。結果は、低評価(単勝151.2倍)を展開の利(超スローペースの逃げ)で覆して着。ちなみにサンダーストーム (Thunder Storm: 嵐、7戦0勝) が入場曲の天龍源一郎は、滑舌の悪さで長州力と双璧を成す存在

灯台学 (pharologyで思い出したのが研究社の英語辞典「ライトハウス」。LIGHTHOUSE(灯台)には、未知の英語の世界を照らすガイドのような意味が込められていると書いてあった気がします。後に、この辞典の編集に、NHK「基礎英語」でお世話になった小島義郎先生が携わっていたことを知りました。ちなみに-logy」は「~学」という複合語を作る接尾辞ですが、シンプルに言語や論理という意味で語形成に使われる場合もあります。紛らわしい例としては、mythology(神話(学))と misology(理屈・議論を嫌うこと <miso(嫌う)+logy(論理))があります。したがって、お味噌の学問の「ミソ学」は先客(後者)がいるため-logyを用いた単純な造語は厳しいかもしれません。

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2024年2月 5日 (月)

競走馬名の由来 (2024.2.4)

2/4(日)、語学学習と競馬観戦のコラボ企画(主旨:言語学的に気になる競走馬名の由来を調べながらその馬を応援)の3回目をやっていきたいと思います。この時期、何とかデビューにこぎつけた新馬(最初の2頭)を皮切りに、今回もJRAのHPにお世話になります。

東京5R④アルドール (Ardor):情熱(西)。母名(ヒルダズパッション)より連想。
⇒ラテン語の炎が語源ということで、英語だとardent (情熱的な) あたりが関連語。1番人気(単勝2.8倍)に支持されましたが結果は10着。ちなみに、ardorのrを全てlに変えるとaldolというβ-ヒドロキシカルボニル化合物になります。このaldolを生成するアルドール反応の最初の発見者とされているのが、意外にも
「韃靼人の踊り」で有名な作曲家のA. ボロディン(実は有機化学者で医師)。上記の反応が「ボロディン反応」となっていないのはスティグラーの法則どおり。

京都5Rスターリングアップ (Stirring Up):(心が)奮い立つ。
stir upは句動詞で(気持ちを)かき立てる。どんな気持ちかは目的語次第。
結果は着とまずまず。ちなみに、名前が~アップで終わる現役馬は、キイモップアップ (Kii Mop Up: 冠名+完成、総仕上げ)、ターニングアップ (Turning Up: 折り返し)、ブレークアップ (Breakup: 空が破れたかのように見えるオーロラ) など。過去にはJCを勝った豪のベタールースンアップ (Better Loosen Up: くつろいでよね) という名馬がいました。

京都10R③ヴァガボンド (Vagabond):風来坊。
⇒漫画の『天才バカボン』(諸説あり)や『バガボンド』にもみられますが、英語の発音は[vǽgəbɑ̀nd]。別の言い方だと man of pleasure(放蕩者)。なお、
ヴァガボンドは牡馬(オス馬)なので、Vagabond の綴りのままフランス語(ただし最後のdは黙音)でもいけます。母馬はカプリースレディー (Caprice Lady: 気まぐれな淑女) なので少し関係がありそうです。結果はインコースから逃げて最後までよく粘り着。

東京12R⑬フィンガークリック (Finger Click):ジャズでよく用いられる指パッチン。
⇒「指パッチン」は芸の呼称で正式ではないかもしれませんが便利な表現です。結果は馬番と同じ13着と振るいませんでしたが、興味深いのは父馬の名前=マインドユアビスケッツ (Mind Your Biscuits)。米の馬だし、あのシービスケット (Seabiscuit: 海軍用の堅パン、父馬はHard Tack: 乾パン) にちなんで?と思ったら「Mind Your (Own) Business (大きなお世話だ)」を捩(もじ)って付けられたとのこと。英語で「勢い型」のダジャレは珍しいと思いました。

ところで、vagabond の別の表現として man of pleasure を紹介しましたが、こんな時はポリコレ的に「person of pleasure」と無性語を使うべきと主張する人がいます。いつかのラジオ講座で、対象の性別がはっきりとわかっている状況でわざわざpersonを使うのは逆に変だと教わりました。例えば、会議の議長が男性であることが明白な時に、その議長に対する呼びかけや言及にchairpersonは使いません。一般論において、議長を勝手に男性と決めつけてchairmanとしないことがポリコレの考え方なので、無性語が常に万能なわけではないことに注意したいです。  

 

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2024年1月29日 (月)

ガチョウ騒動について

つい先日、ガチョウ(goose/geese)にまつわる翻訳記事が原因でちょっとした騒ぎがありました。それは、昨年末から年初にかけてJRA短期免許を初めて取得し日本競馬に騎乗していたL. Morris騎手(英国)が、自らの申請で免許取消、予定より1か月早く帰国して英国メディアに「I couldn’t turn geese into swans.」とコメントしたことに端を発します。日本のS社は、彼のコメントを「ガチョウを白鳥には変えられない」と直訳してネット配信したのですが、これが騎乗馬の質が悪くてどうにもならなかった(日本での通算成績:80戦1勝)という「捨て台詞」として受け取られ、日本で同騎手を批判する声が相次ぐ事態になりました。直訳記事はその後まもなく「長所を最大限に引き出すことができなかった」という同騎手の反省の弁に訂正されましたが、すると今度は批判の矛先がMorris騎手からS社に移り、「turn geese into swans」は「長所を最大限に引き出す」という意味の慣用表現なのだから誤訳(直訳)には悪意がある、Morris騎手に正式に謝罪すべきとの意見が出る始末・・・

ところで、私は「turn geese into swans」が上記の意味の慣用句だという話には懐疑的です。ただ、「All his geese are swans. (自分に身近な人やものは全てよく見えるものだ.)」という諺は有名なのでgoose (geese)とswan(s)の対比はしっくりきます。そもそも「What a goose! (なんてバカなんだ!)」という表現があるくらい、英語圏ではガチョウにあまりいいイメージがないので、Morris騎手のコメントに「ガチョウ=駄馬」という皮肉はなかったとしても、これを長所云々と訳すのはちょっと飛躍している感じがしました。

となるとこれは文脈上の意訳かと思い、英国レーシングポスト紙の元記事を読んでみました。すると該当箇所は「I had just the one winner and many places, but it’s quite tough going and I worked out that the average SP (管理人注: starting price) of my rides was 54-1. I soon realised that I couldn’t turn geese into swans.」となっていました。つまり、Morris騎手は、事実としてオッズで低評価だった自分の騎乗馬(ガチョウ)を勝ち馬or着順上位馬(白鳥)にすることはできなかったと冷静に状況分析をしているわけです。私がもしコタツ記事を書くとしたら「私が勝てたのは1度だけで2、3着は何度もありましたが、状況はかなり厳しく、計算したら私の騎乗馬の平均最終オッズは55倍でした。この低評価を覆して大きな成果を上げるのは難しかったとすぐ理解しました。」という感じになります。昨今のメディアやネット民は「切り取り」がすぎるので、S社も無難に意訳しておけばいろいろとカドが立たず、炎上拡大阻止のため妙な訂正でお茶を濁すこともなかったかもしれません。

ちなみに、元記事の中でMorris騎手は、今回の日本での騎乗をタフだが素晴らしい経験だったと述べ、JRAへの深い感謝や再来日への意欲も示しています(なので捨て台詞を吐くわけがありません)。公式には「一身上の都合」とされている早期帰国の理由も、騎乗停止処分(2/3,4)を受けたこととJRAは土日しかレースがないので、とビジネスライクな対応(短期免許取消と同日(1/24)に早速英国で騎乗再開)だったことが明かされています。

それにしても、今回の騒動は洋の東西を問わず「白鳥がガチョウよりも優れている」という共通認識(見た目?or ガチョウ=家畜だから?)が根底にあり、ガチョウにとっては相変わらずかわいそうな役回りでした。ですが、そのガチョウにも「golden goose (無限に利益を生むもの)」という最強のポジティブ表現があります(イタリアの人気アパレルブランド名にもなっています)。これは「kill the goose that lays the golden eggs (目先の利益に目がくらんで将来の利益を台無しにする)」という慣用句と同様、「黄金の卵を1日に1個ずつ産むガチョウ(golden goose)を持っていた男が、一度にたくさんの黄金の卵を手に入れようとしてそのガチョウを殺してしまった」というイソップ寓話に由来しています。いつか「○○○グース」と名付けられた競走馬にMorris騎手が騎乗してスワンS (GII)を勝ったら最高のリベンジになりますが、その確率は・・・オッズで555倍くらいでしょうかw


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「金の卵を産むガチョウ」は時々
 なぜか全身も金色で描かれます。

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2023年12月25日 (月)

競走馬名の由来 (2023.12.24)

12/24(日)は中央競馬(JRA)のグランプリレース「有馬記念」の日です。と来れば・・・語学学習と競馬観戦のコラボ企画(主旨:言語学的に気になる競走馬名の由来を調べながらその馬を応援)の2回目をやっていきたいと思います。今回もJRAのHPにお世話になります。果たして待望の初勝利なるか? 

中山4R⑩コンドライト (Chondrite):ケイ酸塩鉱物 (chondrules) を主要組成とする隕石。
⇒ギリシア語由来:chondr(粒)+ite(石)。新古典複合語の一種。結果は4着(単勝オッズ1.5倍!)。ケイ酸塩鉱物関連では、アイオライト(Iolite、菫青石)というオープン馬が現役で走っています。

中山5R⑭マインドブロン (Mind Blown):衝撃を与える(管理人訳:衝撃を受けた心)
馬主さん的にはmind-blower (人の心を吹き飛ばすような馬) の意味を持たせたかったのでは?結果はこちらも4着。似たコンセプトでは、過去にアイポッパー (Eye Popper: 度肝を抜くような馬) がいました

阪神9R⑧スマラグドス (Smaragdos):緑の石(ギリシャ語)。エメラルドの語源。母名(エメラルドスター)より連想。
⇒なかなかオシャレな命名。以前にギリシア/ラテン語由来の色を調べましたがこの緑 (smaragd) は初めて。(宝)石系の馬名(例:ローゼライト (Roselite: 宝石の一種))は意外と多いかも。ちなみに祖母はAres Vallis (アレス渓谷@火星)で色が赤⇔緑で反転。結果は6着と振るわず。

阪神10R⑬シェイクユアハート (Shake Your Heart):心を揺さぶる。
⇒shake one's heartは、心を揺さぶってネガティブな影響を与えるという印象があります(be shaken:心が動揺する、くじける)。結果は惜しくも2着。似たパターンでは、ロックユアハート (Rock Your Heart: あなたの心を揺り動かす) が現役で走っています。

中山11R有馬記念 (GI) ⑤ドウデュース (Do Deuce):する+テニス用語(勝利目前の意味)。
和製英語のようですが、決勝線手前で追いつき最後に差し切る同馬にピッタリの命名。結果は・・・鞍上の武豊JKとともに復活のV!さすがはあの世界最強のイクイノックスを下したダービー馬。ちなみにスポーツ用語関連では、秋天を制したオフサイドトラップ (Offside Trap) が思い出されます。

以上、なかなか時間がかかりましたがついに本企画から勝ち馬が出てほっとしました。その勝ち馬、ドウデュースは去年の凱旋門賞(仏)で屈辱の19着。今年はGI戦連敗からの復活で、あのオグリキャップの有馬記念を思い出したファンも多かったのではないでしょうか。ほかの注目馬たちもぜひ今後の成長と活躍を期待したいです。また、今回は注目した馬名から連想される馬たちにも友情出演していただき、賑やかで楽しい回となりました。最後に英語のコメントを1つだけ。感情(系)動詞は、例えば今回の有馬記念のようなexcitingなレースにワクワクした私は、I was excited.(×I was exciting.)のように受動態で使われますのでうっかりしないように気をつけたいです。


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来年もう一回行こう。フランス行こう
(レース直後に武豊JKが愛馬に掛けた言葉)

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