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2024年2月 5日 (月)

競走馬名の由来 (2024.2.4)

2/4(日)、語学学習と競馬観戦のコラボ企画(主旨:言語学的に気になる競走馬名の由来を調べながらその馬を応援)の3回目をやっていきたいと思います。この時期、何とかデビューにこぎつけた新馬(最初の2頭)を皮切りに、今回もJRAのHPにお世話になります。

東京5R④アルドール (Ardor):情熱(西)。母名(ヒルダズパッション)より連想。
⇒ラテン語の炎が語源ということで、英語だとardent (情熱的な) あたりが関連語。1番人気(単勝2.8倍)に支持されましたが結果は10着。ちなみに、ardorのrを全てlに変えるとaldolというβ-ヒドロキシカルボニル化合物になります。このaldolを生成するアルドール反応の最初の発見者とされているのが、意外にも
「韃靼人の踊り」で有名な作曲家のA. ボロディン(実は有機化学者で医師)。上記の反応が「ボロディン反応」となっていないのはスティグラーの法則どおり。

京都5Rスターリングアップ (Stirring Up):(心が)奮い立つ。
stir upは句動詞で(気持ちを)かき立てる。どんな気持ちかは目的語次第。
結果は着とまずまず。ちなみに、名前が~アップで終わる現役馬は、キイモップアップ (Kii Mop Up: 冠名+完成、総仕上げ)、ターニングアップ (Turning Up: 折り返し)、ブレークアップ (Breakup: 空が破れたかのように見えるオーロラ) など。過去にはJCを勝った豪のベタールースンアップ (Better Loosen Up: くつろいでよね) という名馬がいました。

京都10R③ヴァガボンド (Vagabond):風来坊。
⇒漫画の『天才バカボン』(諸説あり)や『バガボンド』にもみられますが、英語の発音は[vǽgəbɑ̀nd]。別の言い方だと man of pleasure(放蕩者)。なお、
ヴァガボンドは牡馬(オス馬)なので、Vagabond の綴りのままフランス語(ただし最後のdは黙音)でもいけます。母馬はカプリースレディー (Caprice Lady: 気まぐれな淑女) なので少し関係がありそうです。結果はインコースから逃げて最後までよく粘り着。

東京12R⑬フィンガークリック (Finger Click):ジャズでよく用いられる指パッチン。
⇒「指パッチン」は芸の呼称で正式ではないかもしれませんが便利な表現です。結果は馬番と同じ13着と振るいませんでしたが、興味深いのは父馬の名前=マインドユアビスケッツ (Mind Your Biscuits)。米の馬だし、あのシービスケット (Seabiscuit: 海軍用の堅パン、父馬はHard Tack: 乾パン) にちなんで?と思ったら「Mind Your (Own) Business (大きなお世話だ)」を捩(もじ)って付けられたとのこと。英語で「勢い型」のダジャレは珍しいと思いました。

ところで、vagabond の別の表現として man of pleasure を紹介しましたが、こんな時はポリコレ的に「person of pleasure」と無性語を使うべきと主張する人がいます。いつかのラジオ講座で、対象の性別がはっきりとわかっている状況でわざわざpersonを使うのは逆に変だと教わりました。例えば、会議の議長が男性であることが明白な時に、その議長に対する呼びかけや言及にchairpersonは使いません。一般論において、議長を勝手に男性と決めつけてchairmanとしないことがポリコレの考え方なので、無性語が常に万能なわけではないことに注意したいです。  

 

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