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2024年1月22日 (月)

アワード vs. アウォード

今回は「award」の発音にまつわる雑談回です。日本語で賞を意味する「アワード」が定着してから大分時間が経った気がしますが、awardの発音は[əwɔ́rd (US)/əwɔ́ːd (UK)]なのだから、日本語もアウォードとするべきだという人がいます。なぜなら「Star Wars」は「スター・ーズ」ではなく「スター・ウォーズ」ではないか、と。実は外国語の言葉を日本語に取り入れる場合には字訳、音訳、または意訳があり、どれが採用されるかはその言葉次第なところがあります。このawardに関しては、アワードが字訳でアウォードが音訳ですので、字訳が広く受け入れられているという現状です。心配なのは、英語を喋るときに綴りやカタカナ語に引きずられて発音を間違えてしまうことですが、それはawardに限らずよくある話です。綴りでいうと、spinach(ほうれん草)はスピッチではなくスピッチ [spínitʃ] と発音するのが個人的には最もインパクトがあるトラップです(ほかにも、bury [bri], women [wmin] など)。

さて、実際にググってみると検索結果数はアワードが全体の99%以上(アワードとアウォードの二択で)を占めており圧倒的でした。言葉は「一度定着したものは回収しがたい」性質があるので、この状況だとアウォードがメジャーになることはほぼないかもしれません。そんな中、果敢にもあえてマイナーなアウォードの方を公式に採用している団体や組織があるのか調べてみると以下の2つが見つかりました。

Jリーグアウォーズ((公社)日本プロサッカーリーグ (Jリーグ))

東京ドラマアウォード((一社)日本民間放送連盟)

やはり、アウォード派を探すのは一苦労で、ほとんどがアワード派でした。上記の2団体(社団法人)には「アウォード賞 (AWARD AWARD)」を差し上げて、その勇敢さを称えたいと思います。ちなみに、NPB AWARDS(プロ野球)や B.LEAGUE AWARD(プロバスケ)など、あえて英語のまま(発音は謎ですが)にしている団体もありました。

外国語の単語をカタカナ語にする場合、音訳には原語自体の発音ゆれの問題や音声学的な限界がある一方、字訳に頼ると原語の発音からは遠ざかることになります。ダイアベティス(糖尿病の代替語候補)もそうですが、学術用語には字訳が多い印象です。ちなみに、日本化学会には化合物の化学名(メインはカタカナ表記)が一通りに決まる字訳基準表があります。例えば、化学物質のxyleneは、日本語では字訳により「キシレン」となりますが、英語では「ザイリーン [záiliːn]」なので発音にはかなりの開きがあります。学術界で字訳を採用する理由としては、原語の発音を犠牲にしても表記ゆれをなくすことを優先し、論文や特許の正確な検索をしやすくするメリットなどが考えられます。

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 この賞は「アウォード・アワード」と読みます。

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