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2024年1月 8日 (月)

語形成の突然変異

SNSの発達もあり、新しい単語が言語やジャンルを問わず加速度的に生み出される時代になりましたが、新語の生成条件の1つには、大多数の人に受け入れられる発音の容易さ、語呂(覚えやすさ)、直感による分かりやすさなどが挙げられます(その意味では糖尿病の代替語候補=ダイアベティスは不利?)。さらに、歴史(文法)や文化(流行)などといった要素が世の中への定着を後押ししやがて辞書に載るのがサクセスストーリーですが、その過程では規則性よりもイメージが優先されることもあるため、語形成にはさまざまな「突然変異」が起こると考えられます。今回は、比較的メジャーな語形成パターンを題材にして、英語と日本語の比較も交えながら、興味深い新語生成の一端に触れていきたいと思います。

新古典複合語の語形成
古典ギリシア語や古典ラテン語を由来とする造語要素(古典造語要素)をつなぐことで新しい単語が形成されます。これは古語と古語の掛け合わせで新語を生み出す、いわば言語学上の「反転術式」です。学術用語(特に医学用語)に多くみられ、例えば、osteoporosis(骨粗しょう症)は古典ギリシア語の骨(osteo-)、孔(-poro-)、病態(-sis)から成り立っています。興味深いことに、造語要素のつなぎ目(語尾)は「o」となっていることが多く、最近では造語要素が現代英語の名詞や形容詞で「造語要素+接合辞(主にo)+造語要素」のように語形成される傾向があります(例:methodology (方法論)、sociolinguistics (社会言語学))。

イメージによる語形成
流行が規則性を超越すると突然変異型の語形成が生まれます。例えば、本ブログでも取り上げたことのある「~中毒の」という意味を与える接尾辞(もどき)は、元はalcoholic(アルコール中毒者)の後半部分がちぎれたもので、「中毒の対象+a (対象がa、oで終わる場合はナシ)+holic」のように新語を量産できます。また、鉱物系接尾辞の「-ite」は、発音の都合か元々語根の最後(の子音字)が「l」となる石が多かったためか「-lite」と異形化する場合(cyrtolite、iolite、roselite等)も多く存在します
。一方、日本語の変異例としては「アムラー現象」が挙げられます。つまり、シャネラー⇒アムラー⇒パフィラー、アユラー、マヨラーのように新語が生まれ、アムラーの強い影響で最終的にはラ行で終わらない対象にもラーを付ける「変異」が起こっています。これらはいずれもイメージ重視による語形成です。

②を書き終わった後、過去記事を読み返していたら Green Wedding の復習 の最後に似た内容(vegetable⇒vegetarian)を見つけてびっくり。今回、実に16年を経て少しだけまとまった記事になりました。普段から考えていることはあまり変わってない?という説が濃厚ですが、記事の数も気づけば300近くになっているので、掘り起こし作業からの再発見や再考察も楽しいかもしれません。


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ボクの名前はガンビー(サイヤ人)。

追記(覚書) l/r系が接合辞(連結辞)のサポートをする例

ite→lite: 

mega→megalo: Megalosaurus (メガロサウルス), megalopolis (超巨大都市), megalophobia (巨大物恐怖症).

 



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