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2023年12月

2023年12月25日 (月)

競走馬名の由来 (2023.12.24)

12/24(日)は中央競馬(JRA)のグランプリレース「有馬記念」の日です。と来れば・・・語学学習と競馬観戦のコラボ企画(主旨:言語学的に気になる競走馬名の由来を調べながらその馬を応援)の2回目をやっていきたいと思います。今回もJRAのHPにお世話になります。果たして待望の初勝利なるか? 

中山4R⑩コンドライト (Chondrite):ケイ酸塩鉱物 (chondrules) を主要組成とする隕石。
⇒ギリシア語由来:chondr(粒)+ite(石)。新古典複合語の一種。結果は4着(単勝オッズ1.5倍!)。ケイ酸塩鉱物関連では、アイオライト(Iolite、菫青石)というオープン馬が現役で走っています。

中山5R⑭マインドブロン (Mind Blown):衝撃を与える(管理人訳:衝撃を受けた心)
馬主さん的にはmind-blower (人の心を吹き飛ばすような馬) の意味を持たせたかったのでは?結果はこちらも4着。似たコンセプトでは、過去にアイポッパー (Eye Popper: 度肝を抜くような馬) がいました

阪神9R⑧スマラグドス (Smaragdos):緑の石(ギリシャ語)。エメラルドの語源。母名(エメラルドスター)より連想。
⇒なかなかオシャレな命名。以前にギリシア/ラテン語由来の色を調べましたがこの緑 (smaragd) は初めて。(宝)石系の馬名(例:ローゼライト (Roselite: 宝石の一種))は意外と多いかも。ちなみに祖母はAres Vallis (アレス渓谷@火星)で色が赤⇔緑で反転。結果は6着と振るわず。

阪神10R⑬シェイクユアハート (Shake Your Heart):心を揺さぶる。
⇒shake one's heartは、心を揺さぶってネガティブな影響を与えるという印象があります(be shaken:心が動揺する、くじける)。結果は惜しくも2着。似たパターンでは、ロックユアハート (Rock Your Heart: あなたの心を揺り動かす) が現役で走っています。

中山11R有馬記念 (GI) ⑤ドウデュース (Do Deuce):する+テニス用語(勝利目前の意味)。
和製英語のようですが、決勝線手前で追いつき最後に差し切る同馬にピッタリの命名。結果は・・・鞍上の武豊JKとともに復活のV!さすがはあの世界最強のイクイノックスを下したダービー馬。ちなみにスポーツ用語関連では、秋天を制したオフサイドトラップ (Offside Trap) が思い出されます。

以上、なかなか時間がかかりましたがついに本企画から勝ち馬が出てほっとしました。その勝ち馬、ドウデュースは去年の凱旋門賞(仏)で屈辱の19着。今年はGI戦連敗からの復活で、あのオグリキャップの有馬記念を思い出したファンも多かったのではないでしょうか。ほかの注目馬たちもぜひ今後の成長と活躍を期待したいです。また、今回は注目した馬名から連想される馬たちにも友情出演していただき、賑やかで楽しい回となりました。最後に英語のコメントを1つだけ。感情(系)動詞は、例えば今回の有馬記念のようなexcitingなレースにワクワクした私は、I was excited.(×I was exciting.)のように受動態で使われますのでうっかりしないように気をつけたいです。


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来年もう一回行こう。フランス行こう
(レース直後に武豊JKが愛馬に掛けた言葉)

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2023年12月18日 (月)

便利な検索リスト

今回は(個人的に)便利な検索サイトを備忘録的にリストアップしてみました。とりあえず思いつくままに挙げていますが、この頁は随時更新していく予定です。

<英語全般>
・英英辞書サイトの串刺し検索→OneLook Dictionary Search
・英和・和英辞書の串刺し検索→weblio英和和英
・英和・和英辞書→英辞郎 on the WEB
頭字語・頭文字語略語の展開→Acronym Finder
略語生命科学分野)とその展開形の検索→Allie
・論文誌タイトルの省略形の検索→CAS Source Index (CASSI)
転綴(てんてつ)語の作成→アナグラム
脚韻の検索→RhymeZone
タイトルケースの適用→HEADLINE CAPITALIZATION
レトロニムのリスト→List of retronyms

<日本語史>
・語源・由来→語源由来辞典

<症例>
・恐怖症リスト→The Phobia List

<趣味>
・競走馬名の由来→JRA登録馬リスト馬想家からの手紙

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2023年12月11日 (月)

競走馬名の由来 (2023.12.10)

今回は語学学習と競馬観戦のコラボ企画です。主旨は、中央競馬(JRA)に出走する競走馬のうち、言語学的に気になる馬名の由来を取り上げながら、ついでにその馬を応援していこうというものです。つまり、勉強と趣味を同時に行う時短?の実験企画です。ちなみに、現在のJRAのHPには競走馬の馬名の英字表記とその意味が公式に掲載されているのでとても助かります。それでは、12/10(日)の分を早速やっていきましょう!

中京1R③ファルギュラントFulgurant):驚くほどに印象的な。稲妻の閃光を思わせる。
⇒初めましての形容詞。impressiveと同義。結果は7着と爪跡を残せず・・・。ちなみに、このレースの
勝馬は独語で稲妻(blitz)を名に持つキャッシュブリッツ (Cash Blitz) というオチ。

阪神2R④アクシノスAxinos):ギリシャ語、価値のある(Axios)と血統(Genos)の組合せ。
⇒ギリシア語からの造語ですが、言語学的にはアクシオゲノスとしたいところ。結果は伸びそうで伸びない4着。

中山3R⑧エスペラードEsperado):期待通り(西)。
⇒スペイン(西班牙)語。結果
は・・・なんと期待(5番人気)を最大限に裏切るドン尻の11着で入線。

阪神3R⑧ステイチューンドStay Tuned):乞うご期待。
⇒CM前の「チャンネルはそのままで!」というMCの決め台詞。過去にも同名の馬がいたような気が・・・結果は着とまあまあ。

中山10R⑦パワーブローキングPower Broking):権力争い 。
⇒broker (仲介業者)→broke→broking という逆成語。「権力の取引」に大失敗して結果は10
着。

中山11R⑫ベルダーイメルVerdad Imeru):真実(西)+稲妻(アイヌ語)。
⇒かなりレアなハイブリッド馬名。そして稲妻関連では本日3言語目の登場。3番人気で期待されるも結果は6着。

阪神11R阪神ジュベナイルフィリーズ (GI)ルシフェルLucifer):明けの明星(ラテン語)。母名(Alluring Star)より連想。
⇒綴りは堕天使ルシファーと同じ。
lucifer (match) だと黄燐マッチ。結果は輝ききれずに6着。

以上、応援した馬たちはさっぱりの結果で残念でしたが、なかなかおもしろい知見が得られました。特に、個人的には新発見だった逆成語のbroke (broking)。少し調べたところ、この単語の経歴はおそらく、ラテン語のbroccare (葡萄酒仲買人)→古フランス語のbrocheor→中フランス語のbrocour→英語のbroker→broke (動詞が逆成!)→broking という流れです(前半の流れは諸説ありそうです)。

さて、JRAの競走馬名の意味を調べていて、以前よりも英語以外の外国語、特にフランス語が多用されていると感じました。英語がそろそろネタ切れ気味なのかもしれませんが、フランス(ロンシャン)の凱旋門賞出走へ思いを馳せて・・・というのもわかります。いずれにしても、今回の企画はシリーズ化する予定で、余裕が出てきたら以前のようにまた競馬関連の英文記事も紹介していきたいと思います。


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イクイノックス、おつかれさまです!

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2023年12月 4日 (月)

ゴロピカの不一致

今回は、偶然か必然か、日本語と英語で慣用表現が酷似している「青天の霹靂」と「a bolt from the blue」を取り上げ、深堀りしていこうと思います。

a bolt from [out of] the blue 青天の霹靂
三省堂「英語イディオム由来辞典」によれば、この英語表現はT. Carlyle (British essayist, historian, and philosopher, 1795–1881) がドイツ語の ein Blitz aus blauem [heitrem] Himmel(青空[晴天]からの稲妻)を英訳したのが最初で、さらにその元ネタは船乗りの守護聖人St. Elmoの復活伝説だそうです(諸説あり)。前にlike又はasを付けて口語で用いることが多く、thunderbolt(雷電・落雷)の一語だけでも同じ意味で使えます。それにしても「青天の霹靂」は見事な対訳で、はじめは英語の直訳なのかと思いました。ただ、よく考えてみると「霹靂」は雷鳴(thunder)で、boltは電光・稲妻・稲光(つまり日本語と英語はゴロとピカの関係)とちょっとイメージが異なるため、調べてみるとやはりルーツも違っていました。

日本語の「青天の霹靂」は、中国(南宋時代)の詩人・陸游(りくゆう、Chinese historian and poet, 1125–1210)が書いた詩の一節「青天飛霹靂(突然すごい勢いで筆を走らせたことの比喩)」が中国語として「青天霹靂」に縮まり、それが日本に伝わったのだとか。なので、晴天と書くのは厳密には間違いで(同音同義語なので実質的に問題なしとも言えますが)、青天を英語のblueとセットにして覚えれば間違いがなさそうです。いずれにしても、最初は筆の勢いを音に例えた表現でしたが、のちに「突然起こった出来事」の比喩で使われるようになったというわけです。

このように、言語も由来も異なるのにたまたま似通った表現になっているのは言語学上非常に興味深いですが、英語を正確に理解するという観点からは少し気になっていることがあります。それは日本語の「サンダー」(thunder) の多用問題です。日本語ではなぜか「雷」をモチーフとする商品やキャラクター等に対してボルト(ピカピカ)よりもサンダー(ゴロゴロ)を当てる傾向が強く、そこに稲光のロゴやイメージを関連付けるため「サンダー=稲妻」であると誤解しやすい環境が生まれている気がします。

例えば、アニメ「初代プリキュア」の必殺技「プリキュアマーブルスクリュー」はブラックサンダーとホワイトサンダーという2種類の雷が混じり合って発射される電撃で、白と黒の光が強烈な印象を与えます。また、チョコ菓子の「ブラックサンダー」のパッケージには稲光が描かれ、「黒い雷神」や「おいしさイナズマ級!」という文字が入っています。このように、色を表す形容詞がサンダーに付いてしまうと、サンダーが音ではなく光として認知されがちです。そういえば、任天堂ゲーム「マリオカート」で雷を落とすアイテム「サンダー」も稲妻がモチーフでした。



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ほかにも、アリスの「冬の稲妻」は、突然去っていった恋人を冬の稲妻に例えた名曲ですが、その歌詞の「あなたは稲妻のように」と「You're rollin(g) thunder」がシンクロし、やはり「thunder=稲妻」として印象付けられるかもしれません(rolling:鳴り響く)。

気象庁のHPで確認したところ、雷とは「大気中で大量の正負の電荷分離が起こり、放電する現象」で「放電する際に発生する音が雷鳴で、光が電光」という明解な記述がありました。この雷の音と光を同時に表現したい場合、日本語には「雷電」という熟語が、英語には前述の「thunderbolt」という便利な単語がそれぞれあって、おそらく日本では「サンダーボルト」を使うべきところを、慣例、長さ、語呂といった理由から「サンダー」が愛用(で代用)されているものと考えられます。一般に、比較的長い単語やフレーズで重要な核となる部分が省略されてしまうケース(例:初代ウルトラマン→初代マン→マン)はままあることですが、サンダーボルトの場合は、サンダーとボルトという2つの並列概念のうち「文字はサンダー、ロゴはボルトを使う」といったややこしい現象が起きています。

さて、言語の歴史にエラーはつきものですし、そこがおもしろいところでもあります。今回のように語の持つ本来の意味と語が与えるイメージが何らかの理由でチグハグになってしまっている現象は結構あるような気がしますが、さすがに名前が付くほどメジャーではないと思われます。そこで、こういった現象について、上述の「サンダーボルト」を代表例に据え、遠方の雷のゴロゴロとピカピカが同時に体感できないことにもなぞらえて「ゴロピカの不一致」と名付けたいと思います。

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