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2023年11月

2023年11月27日 (月)

製薬関連の略語集

今回はシンプルに製薬関連の略語をまとめてみました。

CMC(Chemistry, Manufacturing and Control)
 特性解析、製造及び品質管理
 医薬品承認申請資料に記載する情報(特性解析=原薬・製剤の化学)。

CTD(Common Technical Document)
 コモン・テクニカル・ドキュメント
 日・米・EU共通の医薬品承認申請様式で、5部のうち2~4部が全地域で共通の構成。

DDS(Drug Delivery System)
 ドラッグ・デリバリー・システム
 目標患部に薬物を効果的・集中的に送り込む技術。副作用軽減も期待できる。

EBM(Evidence-Based Medicine)
 根拠に基づく医療
 臨床研究の客観的データに基づく、患者に最も有益で害の少ない医療とされる。

FDA(Food and Drug Administration)
 米国食品医薬品局
 米国の食品および医薬品に関する行政を専門に行う連邦機関。

GCP(Good Clinical Practice)
 医薬品の臨床試験の実施の基準
 
日本ではICH-GCPに基づくGCP省令が施行(1997年~)。臨床試験への参加は患者の自己責任(文書同意)のもと決定される。

GMP(Good Manufacturing Practice)
 医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令
 各製造工程で品質管理を確保し、汚染を防ぎ良質な医薬(部外)品を製造するために、製造業者が遵守すべき規則。

GLP(Good Laboratory Practice)
 医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準
 医薬品や化学物質の安全性試験評価試験の信頼性確保を目的とし、試験施設が備えるべき設備・機器・組織・試験操作等の手順及びその条件に関する品質システム。

Gap

IC(Informed Consent)
 治験参加希望者の、説明を受けた上での同意
 治験において、担当医師またはコーディネーターから治験に関するあらゆる角度からの説明が十分になされた上で、被験者が自由意志により参加に文書同意すること。

ICHThe International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use
 医薬品規制調和国際会議
 日・米・EU間で治験方法を統一し治験データに互換性を持たせて治験にかかる期間と費用の低減を図り、新医薬品開発の迅速化・効率化を目指す会議。構成員は日米EUの各規制当局及び医薬品業界代表者。ICHで合意されたガイドラインは厚生労働省医薬・生活衛生局から通知される。

MR(Medical Representative)
 医薬品メーカーの医薬情報担当者
 医薬関係者を訪問し、医薬品の適正使用情報を提供・収集するスタッフ。対人スキルと専門スキルの両方が求められる高度な職種。

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2023年11月20日 (月)

Clipped Phrases

今回は、行動や状況の例えに使う英語の諺や名言などが比較的長い場合について考えてみます。ちなみに日本語では、諺の冒頭以降を「なんとやら」で省略するパターンがみられ、例えば『呪術廻戦』では「頭が高い」漏瑚に対して宿儺が「実るほどなんとやら(実るほど頭を垂れる稲穂かな)だ」と皮肉と斬撃で一刀両断するシーンがありました。さらには、故事(中国の古典等)から名詞(句)が独立した「矛盾」や「紅一点」のような故事成語(故事成句)もあります。一方、英語にもこうしたclipped phrase(切り取られたフレーズ)とでもいうべき便利で端的な表現が数多くありますので、ここで少しご紹介したいと思います。

a piece of cake 朝飯前、楽勝
<as easy as eating a piece of cake
 (ケーキひと切れを食べるくらい簡単な)

different strokes 十人十色
Different strokes for different folks. ―Muhammad Ali (1966)
 (相手によってパンチの打ち方はそれぞれ違う。)

greener pasture 今よりも良い所、新天地
<The grass is always greener on the other side of the fence.
 (隣の芝生は青い)

a nine days' wonder 人の噂も七十五日
A wonder lasts nine days, and then the puppy's eyes are open.
 (子犬が世界を不思議に思うのは目が開くまでの9日間だけである)

squeaky wheel 声に出して自己主張をする人
<The squeaky wheel gets the grease.
 (きしむ車輪は油を差してもらえる)

【雑感】
日本語では人の噂も75日(春夏秋冬+梅雨=5季節の約1つ分)ですが英語だと9日(両手で足りる日数)だったり、声に出して自己主張をする人は英語圏では報われるのに日本では「騒ぎ立てる人」のような否定的な印象を持たれがちだったり、といった文化的背景も関連していそうな表現の違いが興味深いです。また、現代に語り継がれている諺、名言、故事成語などは、その内容が今の時代や国々にacceptableかつcatchyであることが必要条件であると考えられます。となると、例えば「a piece of cake」は例の「パンがなければケーキを食べればいい」が反感を買うような時代ではもちろん、今も貧しい国では成立しない場合もあるわけで、ポリコレ的にちょっと微妙な慣用句です。いずれにしても、学生時代にひたすら丸暗記した知識をTPOを考えずに条件反射で使ってしまわないよう気をつけたいと思います。

最後に、会話や文章の流れの中で諺や故事成語を導入したいときのテクニックをご紹介します。

①引用する文に副詞の「proverbially(諺にあるように)」を挿入する。
②冒頭を「As they say, ...」や「As the old saying goes, ...」で始める。
③“~” approach, “~” attitude, “~” situation 等の~に入れる。

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2023年11月13日 (月)

領域展開「Illegible」

『領域展開「無量空処」』ならぬ「Illegible」で「文字列を判読できなくする」という術式が付与された領域内では、単語が難解になればなるほど経験や勘による理解ができなくなるかわりに、単語の文字列を微視的に捉えて本来の意味や成り立ちを透視する感覚が研ぎ澄まされる。これはまさに『呪力』を言語力に置き換えた『反転術式』!・・・と「呪術廻戦」的な前フリが長くなりましたがillegible(判読できない)は語源的になかなかおもしろい素材です。分解するとこの形容詞は、il+leg+ible の3つのパートに分かれます。最初は形容詞の意味を変える接頭辞、真ん中はラテン語の動詞 legere(読む)由来の語根、最後は動詞を形容詞化する接尾辞で、各パーツは全てラテン系で統一されています。

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①否定の接頭辞
il- は in- の異形で、否定・反対・欠如といった意味を形容詞に付与するラテン系接頭辞です(通常、ラテン系形容詞にはラテン系接頭辞がつきます)。in- は、直後の形容詞が lm (b, p, mで始まる単語の前では in- ⇒ im-)、r で始まる場合はil-、im-、ir- にそれぞれ異形化し、結果として ill-、imm-、irr- のように子音字がダブります(例:immediate=im+mediate (間接の) → 即時の、直近の)。ちなみに、アングロサクソン系の形容詞に否定の意味を付与するときにはアングロサクソン系接頭辞の un- をつけます(例:unhappy, unkind)。

【宿題】innocent: in+nocent(有害な、<古>有罪の)⇒ 無実の

②可能の接尾辞
-ible 動詞を形容詞化する接尾辞で(動作が)可能なという意味を付与します。直感的に -able の異形かなと思って調べていたら、慶大の堀田先生のブログで、接尾辞「-able」は形容詞の「able」とは別語源という衝撃の事実が発覚。つまり、-ible は -i- (連結辞)+ble に分解される→この連結辞は基体となるラテン語の動詞のタイプで決まる→不定詞が -are(第1活用)の場合は -a-(つまり語尾が -able)、それ以外の場合は -i-(つまり語尾が -ible)→第3活用のlegere(読む)には連結辞として -i- が選ばれる→ -able も -ible も動詞を形容詞化するだけで、元々「可能」の意味はなかった→ -able が形容詞のableと関連付けられて「可能」の意味を獲得→ -able の異形に見える -ible も後を追う→「動詞+ -able or -ible」で「~することが可能な」という意味の形容詞が量産された、というのが正解のようです。まさに事実は小説よりも奇なりです。ちなみに、酒井先生の著書には、連結辞が -a- になる動詞はゲルマン系、-i- になる動詞は(純粋な)ラテン系であるとも書かれていました。

【宿題】dissoluble (溶解性の): dissolve+uble ← 何系?

と、ここまでの説明は語幹の動詞にどんな接頭辞と接尾辞がつくのかという方向性でしたが、逆に、否定の接頭辞や可能の接尾辞を見れば基体となっている動詞がラテン系かゲルマン系(アングロサクソン系)かの区別がつきます。つまり、『領域展開「Illegible」』で生まれた「正の」言語力を自らの『生得術式』(非母語話者のアプローチ)に流し込む『術式反転』で、単語の正体に関する情報が勝手に脳内に入ってくるわけです。例えば、動詞のsolveは、insolubleという形容詞があるのでラテン系だろう、そしてラテン系の連結辞には -u- もあるのか?、似た単語のdissoluble(溶解性の)はどう分解されるのか?などと思いをめぐらせると何だか楽しくなってきます。普段何気なくスルーしている単語も、「Illegible」の領域内で頭をリセットして向き合ってみるといろいろな発見があるかもしれません。以上、今回はこのブログのテーマの1つである「語源」を「呪術廻戦」的な視点で取り上げてみました(呪術廻戦の用語は『 』で示しました)。

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2023年11月 6日 (月)

韻キャな音楽家たち

今回は、あまりなじみのない単語を偉大な音楽家達の力を借りて覚えちゃおう!という「押韻企画」です。10年以上寝かせていたネタですが、このところ割とカタめの記事が続いたので、今回は本来のテイストでお楽しみいただければ幸いです。なお、押韻を試みた結果、ちょっとネガティブな表現になってしまったものもいくつかありますが、他意は全くありませんのでご容赦ください。

callous Callas 冷淡なカラス
 20世紀最高の天才ソプラノ歌手、世紀の歌姫(diva)とも呼ばれたマリア・カラス(Maria Callas, 1923~1977)、彼女のキャリアや美貌に嫉妬する心ない人から、孤高の天才=冷淡というイメージを捏造されたこともあったのでは?という妄想で。なお、発音は同音(kæ’ləs)の反復と考えてよさそうです。

foster Foster フォスターを養育する
 歌曲作曲家のスティーブン・フォスター(Stephen Collins Foster, 1826~1864)は「アメリカ音楽の父」と称されていますが、幼少期は比較的裕福な家庭で養育されたそうです。ちなみに、男性名のStephenの発音には注意が必要で、アメリカ人ならスティーブン、ヨーロッパ系の人ならステファンになりますね。

Elvis the Pelvis 骨盤のエルビス
 アメリカのロックスター、エルビス・プレスリー(Elvis Aaron Presley, 1935~1977)につけられた批判的愛称。彼が歌うときの独特なつきが物議を醸し、"Pelvis Presley"とも揶揄されましたが、当の本人は「子供じみた表現」と一笑に付していたようです。(私の持ちネタ、Powell's bowels (パウエルの腸) に通ずるものがあってw)

plethora of Piazzolla ピアソラ過剰
 タンゴの革命児、ピアソラ(Astor Piazzolla, 1921~1992)の魅力に取り憑かれ、演奏プログラムがピアソラ一色といった感じ。微妙に韻が踏めていませんが、そこは雰囲気でw なお、plethoraは医学用語で「多血症」という意味もあります。量関係は、plentyplethora なので、ドラクエ風に「プレ~」で始まる(何かを増やす)呪文の最上位として覚えるのもいいかも?

sans Saint-Saens サン=サーンス抜きで
 サン=サーンス(Charles Camille Saint-Saëns, 1835~1921)はフランスの作曲家ですが、最後のsは英語だと[z]、仏語だと[s]と発音されるようです(同じ仏の作曲家Dukasのsは読まれない場合もあり)。sans [sǽnz] は仏語由来の前置詞(=without)でちょっと(インテリを?)気取って言うときに使われるようです。ということで、英語読みだと[nz]で脚韻を踏めます。

stern Stern 厳格なスターン
 20世紀最高のヴァイオリニストの一人、アイザック・スターン(Isaac Stern, 1920~2001)は巨匠でしたから、お弟子さん達には厳格なイメージもあったのでは? 生い立ちを考えると、元のウクライナ語名:ステルン(Стерн=船尾)からの英語名:Sternなので、日本でいうと「船尾(ふなお)さん」ですね。

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以上、そうそうたる音楽家のラインアップでお送りしました。余談ですが、Maria Callasといえば、彼女のために作出されて捧げられた同名のバラの品種があるようです。また、最後のIsaac Sternについては、新進の若手演奏家を擁護するなど愛情深い方だったようで、晩年に親子ほど年の離れたヨーヨー・マ(cellist, 1955~)らと共演している姿がとても印象に残っています。音楽家の押韻企画は、またネタがたまったら披露させていただきたいと思います。

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