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2023年11月20日 (月)

Clipped Phrases

今回は、行動や状況の例えに使う英語の諺や名言などが比較的長い場合について考えてみます。ちなみに日本語では、諺の冒頭以降を「なんとやら」で省略するパターンがみられ、例えば『呪術廻戦』では「頭が高い」漏瑚に対して宿儺が「実るほどなんとやら(実るほど頭を垂れる稲穂かな)だ」と皮肉と斬撃で一刀両断するシーンがありました。さらには、故事(中国の古典等)から名詞(句)が独立した「矛盾」や「紅一点」のような故事成語(故事成句)もあります。一方、英語にもこうしたclipped phrase(切り取られたフレーズ)とでもいうべき便利で端的な表現が数多くありますので、ここで少しご紹介したいと思います。

a piece of cake 朝飯前、楽勝
<as easy as eating a piece of cake
 (ケーキひと切れを食べるくらい簡単な)

different strokes 十人十色
Different strokes for different folks. ―Muhammad Ali (1966)
 (相手によってパンチの打ち方はそれぞれ違う。)

greener pasture 今よりも良い所、新天地
<The grass is always greener on the other side of the fence.
 (隣の芝生は青い)

a nine days' wonder 人の噂も七十五日
A wonder lasts nine days, and then the puppy's eyes are open.
 (子犬が世界を不思議に思うのは目が開くまでの9日間だけである)

squeaky wheel 声に出して自己主張をする人
<The squeaky wheel gets the grease.
 (きしむ車輪は油を差してもらえる)

【雑感】
日本語では人の噂も75日(春夏秋冬+梅雨=5季節の約1つ分)ですが英語だと9日(両手で足りる日数)だったり、声に出して自己主張をする人は英語圏では報われるのに日本では「騒ぎ立てる人」のような否定的な印象を持たれがちだったり、といった文化的背景も関連していそうな表現の違いが興味深いです。また、現代に語り継がれている諺、名言、故事成語などは、その内容が今の時代や国々にacceptableかつcatchyであることが必要条件であると考えられます。となると、例えば「a piece of cake」は例の「パンがなければケーキを食べればいい」が反感を買うような時代ではもちろん、今も貧しい国では成立しない場合もあるわけで、ポリコレ的にちょっと微妙な慣用句です。いずれにしても、学生時代にひたすら丸暗記した知識をTPOを考えずに条件反射で使ってしまわないよう気をつけたいと思います。

最後に、会話や文章の流れの中で諺や故事成語を導入したいときのテクニックをご紹介します。

①引用する文に副詞の「proverbially(諺にあるように)」を挿入する。
②冒頭を「As they say, ...」や「As the old saying goes, ...」で始める。
③“~” approach, “~” attitude, “~” situation 等の~に入れる。

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