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2023年9月

2023年9月25日 (月)

Dog as a God

今回は、矛盾し合う単語や対義語または対立する概念が同居する、ちょっとoxymoronicな文章を集めてみました(最初の2つは既出)。

These Are the Good Old Days ―Albert Hammond (artist, 1975)
 今こそ古きよき時代 →Those were the good old days.(あの頃はよかった。)というclicheの時制を現在形にズラしたもの。

Up (step) is a strange way to go down (to the sunken garden). 東後勝明先生のNHKラジオ「英語会話」 (1980年代)
 (沈床園に)降りていくのに上り(の階段)なんておかしな行き方だね。→場所はカナダのバンクーバー島だった気がします。

Colorless green ideas sleep furiously. ―Noam Chomsky (linguist, 1955/1957)
 無色の緑の考えが猛烈に眠る。 →意味論的にはnonsenseだが、統語論的には正しいという、言語学史上、最も有名な例文の一つ。

God Lived as a Devil Dog ―Foie Gras (artist, 2014/2019)
 神は悪魔の犬として生きた。 なぜか、ギリシャ神話の冥界の番犬で、ハリポタのフラッフィーのモデルにもなったケルベロス(挿絵左)を連想してしまいました。

Dog, as a devil deified, lived as a God. ―Anonymous
 
悪魔が神聖なことと考えていたように、犬は神として生きた。 これが本当の犬神様? なお、最初のasは前置詞ともとれますが、ここは「様態」の接続詞として訳しました。

最後の2つの文章は神と悪魔の対比があるだけでなく、どちらも回文(palindrome)になっています。まさか、ワンちゃん(dog)と神様(God)が表裏一体の関係にあったとは!?

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2023年9月18日 (月)

レトロニム

ある名詞Aについて、時代とともにその新しいタイプが広まったため、元のAを指すためにわざわざAに形容詞等を付けて説明(再命名)した言葉を retronym1980年に造語)といいます。このretronym、技術・芸術・思想などが加速度的にそれぞれ進歩・変化・多様化していく現代では量産傾向にあり、そろそろ専門辞書が編纂されていてもよさそうですが、英和辞書でretronymを引くと「レトロニム」と書いてあり、字訳以外の訳語はまだ決まっていないようです。

<日本語の例> 登場時⇒再命名の順、括弧内が生成理由
ウルトラマン初代ウルトラマン、初代マン(ウルトラシリーズのヒット)
携帯ガラパゴス携帯、ガラケー(スマホの普及)
チョコレートホットチョコレート(元は温かい飲み物→→固形チョコの普及)
ブレーンバスター垂直落下式ブレーンバスター(安全な改良型の普及)
八ツ橋焼き八ツ橋(元は焼き菓子→→生八ツ橋の普及)

<英語の例> 登場時⇒再命名の順、括弧内が生成理由
guitaracoustic guitar(アコースティックギター)(electric guitarの普及) ※発音注意!→アクースティク。
gymnasticsartistic gymnastics(体操競技)(新体操=rhythmic gymnasticsのオリンピック種目追加)

mailhard/snail mail(紙の郵便)(emailの普及)
ovenconventional oven(従来型のオーブン)(電子レンジ=microwave ovenの普及)
pandalesser panda(レッサーパンダ)(giant pandaの発見(1869年)と認知度UP)
・(tele)phoneland-line (tele)phone(固定電話)(携帯電話=mobile (tele)phoneの普及)

televisionon-air television(従来型のテレビ)(cable televisionの出現)

さて、retronymの訳語を造語するなら「再命名語」あたりが無難かと思いますが、言語学者の方々におかれましては絶妙なネーミング(dangling modifier=懸垂修飾語のようなw)を今後期待しております。よい訳語がひらめいた読者の方はぜひコメント欄までお寄せください!

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2023年9月11日 (月)

ヒヤリハット事例

下の写真、どちらもよく見かける看板ですが、作りが似ているようで実は違うことに最近気付きました。左側は読んで字のごとく「黄色い帽子」ですが、問題は右側のピザハット。「Pizza Hut*」の文字が麦わら帽子のような絵の下に書かれていることもあり、「Pizza Hat」だとずっと勘違いしてました。 *ピザ(を作る)小屋の意。

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<問題点>
タイポグリセミアなどを防ぐために単語を文字単位まで分割して綴りを確認しても、そもそも間違ったことを思い込んでいたら修正が利きません。特に今回のように、企業名などの固有名詞を間違えてしまうと深刻な問題にもなりかねず・・・。日本語ですら、大手企業の「キノン」や「富士フルム」のように発音と綴りに乖離があるものなど、校正者泣かせのトラップはいろんなところに存在するようです(そのうち類型化できたらいいなぁ)。

ここで、自戒の念も込めて、わかりやすい挿絵を作ってみました。

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以上、最近のヒヤリハット事例のご紹介でした。

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2023年9月 3日 (日)

アナグラムのまとめ

今回はこれまでのアナグラムのまとめになります。アナグラム(anagram)とは、文字を入れ替えると元と同じ又は別の意味になる言葉を指し、いくつか種類があります(今回は例示は割愛)。

①回文 (palindrome):文字を逆から読んでも全く同じになる言葉(逆から読んで別の意味になるものはsemordnilap)。

②スプーナー誤法 (spoonerism):頭音同士を間違えて又は故意に入れ替えること。大抵は意味をなさないが、ギャグに使われることも。

③タイポグリセミア (typoglycemia):文字*を入れ替えても元の文と同じように読めてしまう文、又はその現象名。*単語や文節の最初と最後の文字を除く。

<私見>①の回文についてはマニアの方が結構いそうですね。「Ailihphilia」という回文同好会もありそうw。②は脳がバグった感じで、聞くとなぜかクスッとなりますが、逆に③は脳の補正力恐るべしな現象です。文章の校正等のお仕事をしていらっしゃる方にとって③は大敵ですね。

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なお、アナグラムに似た単語としてアンビグラム(ambigram)がありますが、こちらは文字(列)そのものを180度回転させたり、鏡像反転させたりして、同じ又は別の意味になるものを指します。主にデザインやアートのカテゴリーだと思いますが、CHAT-GPTにアンビグラムについて尋ねたらアナグラムと勘違いしていたので混同には注意したいところです。

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