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2009年4月 4日 (土)

可能性を表す助動詞&副詞

以前、「可能性」に関係した記事を書きましたが、化学論文を書く場合には、その可能性の程度によって助動詞や副詞を使い分ける目安として以下のような使用基準があります。

 可能性を表す助動詞と副詞の使用基準(参考:『化学』 2009, 64, 46より)

  助動詞  確率(%)       副    詞  確率(%)
 will   95-100   certainly   90-100
 would   90-95   probably   80-90
 should   80-90   presumably   80-90
 may   30-50   likely   70-80
 might   25-50   perhaps   30-50
 could   20-40   possibly   30-50
 (補足)
 ・would, should, might, could は過去形だが過去時制ではない
 ・may, might, could は実用的にはそれぞれ50, 30, 20%の確率
 ・probablyは推定根拠なし、presumablyは推定根拠あり
 ・maybeはperhapsと同程度の確率の口語。論文ではNG
 ・likelyは文中で使う。(much) more likelyで確率UP

上の引用文献では研究分野と助動詞・副詞の使用頻度の関係についても触れていて、生物化学の論文は有機化学に比べ、確度の低い助動詞・副詞(とくにmay、likely)を多く用いる傾向があるとしています。このことは生物化学が不確定要素の多い分野であることを示しています。
 確率は主観的なもので、とくに会話の場合には、context(話の流れ)、tone of voice(声の調子)、non-verbal message(ボディランゲージ)で変化します。なので確率の%を論じてもあまり意味がありませんが、上の表はある程度の目安にはなると思います。
 ちなみに、日本語の副詞で「概ね(おおむね)」は8~9割、「大体」は8割程度の確率だそうです(『タモリのジャポニカロゴス国語辞典 第一版 p.130』)。もしかすると、気象予報では降水確率などを表現する際に一定の基準があるのかもしれません。

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コメント

アメリカにいたときのこと。学校で、mightよりmayのほうが、可能性は低いと習ったという私とアルゼンチンからの留学生の主張とは裏腹に、当のアメリカ人たちは、「どちらも、同じに使っている」と口を揃えて言いました。表のようにmay 30-50% might 25-50%であるなら、「同じようなもの」とも言えますね。ただし書きのように、実用的には50%と30%となれば、話は違ってきますが。

日本語の「おそらく」と「たぶん」では、「おそらく」のほうが確率は高いそうな(辞書によると)たしかに、ニュースでも「おそらく」なら、出てきてもおかしくないけど、「たぶん」はニュースでは使われそうにない。無責任が感じがするもの。


投稿: monto | 2009年4月11日 (土) 22時38分

montoさん
mayとmight、本記事で取り上げた文献には推奨和訳も載っており、どちらも「~かもしれない」でした。「過去形→非現実感up」の理論から、(どちらかといえば)mightの方がmayよりも可能性が低いと言えそうです。また、may [might] as well do...(~するのもいいかもしれない)では、mightの方が少し丁寧な感じがします。

日本語の問題も微妙ですね。maybeは「たぶん」、surelyは「きっと」がぴったりくる訳だと思います。いずれも口語なので、フォーマルな状況や文章ではNGなのでしょう。余談ですが、「概ね晴れるでしょう」と「大体晴れるでしょう」の違いについて、「タモリの~」オンエア時に気象予報士の石原良純氏がゲストで来ていて、「オレ、考えて言ってねえよ、そんなこと」と笑ってました^ ^;

投稿: やまちゅう | 2009年4月12日 (日) 00時54分

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