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2009年3月

2009年3月27日 (金)

Revisited “way”

2008年度最終月のビジ英には気になる「go」がらみの表現が2種類出てきていました。

(1) go(ing) green (<L11のタイトル)
(2) go the way of the dinosaurs (L12-(3))

(1)はgreenに生活する、で、greenは補語です。
日本語でも「グリーン(エコ)で行こう」で「エコライフを送ろう」という意味になりますね。

go native 現地の人と同じ生活をするようになる
go Japanese (外国人が)日本人風に生活する

一方、(2)は直訳すると「恐竜の道を・行く」となり、一瞬、「を」につられてthe way ~がgoの目的語のように思えます。しかし通常、goは自動詞です。他動詞のgo(耐える/賭ける/飲食するetc.)もありますが、目的語がthe wayでは意味的につながりません。
それならthe way ~は補語でしょうか?でももしそうなら、わざわざwayを使わずgo the dinosaurs とすればよさそうなものです。

ここでは、(2)は前置詞inが省略された副詞句と考えるのが妥当ではないでしょうか。辞書にも、wayは「方法、やり方」の意味で、前置詞inを省略して副詞的に使われる(新英和中辞典/研究社)とあります。つまりwayは、恐竜と同じような滅亡の仕方をするという栄枯盛衰の過程を表現しているわけです。

関連表現を集めてみました。

go all the way 行くところまで行く(実ビジ07-10月p18)
go one's way 自分の思い通りになる/いく
rub someone (up) the wrong way 人の神経を逆なでする
・(in) the worst way とても・どうしても(反語的)
see it that/a different way そう思う/違う見解である
swing both ways 
(俗)両性愛である
A little goes a long way. チョットがずいぶん役立つ
The way I see it, ... 私が思うに・・・(実ビジ08-8月)

こうしてみると、前置詞inは気軽に省略してもよさそうです。ただし、次の例文では文頭&疑問形なのでさすがにしっかりとinが残りますね。

In what way can I appeal to the interviewer?
面接官にどんなふうにアピールできるかな?

おもしろいことに、(2)の表現はdinosaursでなくてもたいてい「滅亡の道をたどる」という意味で使われるようです。前述の辞書にはthe dinosaursのかわりにthe Roman Empire(ローマ帝国)が使われていました。

ちなみに、強意の副詞としてのwayは口語でおなじみですが、こちらはawayの頭音が消失してできた語でルーツが異なるようです(同辞書)。

wayに関する過去の記事→Mandarin wayway

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2009年3月20日 (金)

本質直近の原則(revisited)

英語は配列の言語だと言われます。以下に示す(1)や(2)は語順、とくに修飾語の配置に関する原則の例ですが、昨秋、修飾語が被修飾語にとって本質的であればあるほど被修飾語の近くに置かれることを見出しました。私はこれを本質直近の原則」(注:造語です)と呼んでいます。今回はさらに内容を追加して考察してみたいと思います。

(1)情報伝達の語順(日高先生時代のビジ英textの巻末より)
 原則として、

WHOWHATHOW (Manner)WHERE (Place)WHEN (Time)

(a)MPTルール:WHAT以降の副詞(句)の順序(頭文字で覚える)
[主語]+[動詞](+[目的語])+[方法]+[場所]+[時間]
*述部に対して本質的な情報であるほど述部の近くに配置
ex. The meeting was held secretly in Yokohama on April 12.

  会合は4月12日に横浜で内密に行われた。

(b)名詞構文ルール:動詞の名詞形を修飾する前置詞句の順序
[動作名詞][of+目的語]+[by+主語]+[for+目的]etc.
*動作にとって目的語・主語は最重要情報、次に目的・手段等

 ・[of+目的語]と[by+主語]の語順は入替可能
 ・目的語がないときは[of+主語]としてもよい
 ・目的語か主語を所有格にし、名詞の前に置くことも可能
ex. the government of the people by the people for the people
  人民が自らのために自らを統治すること(リンカーンの演説)


(2)形容詞の配置のルール(たいていの文法書には記載あり)
 原則としてその特性・属性がより本質的・具体的な形容詞ほど被修飾名詞の近くに置かれます。
人の場合
数→見た目の印象→背格好→老若→国籍」+人

 two tall young American ladies 背の高い若いアメリカ人女性2人
物の場合
数→見た目→大小→新旧→形→色(→国籍)→材質」+物
 an old square black leather wallet 古くて四角い黒革の財布

*注)all,bothは一番最初、「形容詞的用法の名詞」は被修飾名詞の直前
*形と色の語順に関する考察はこちら

 ところで最近、「本質直近の原則」が日本語にも当てはまるかもしれないと思うようになりました。例えば、ある技術者が「Aという原料から、Bという触媒を用いて、Cを作る」新しい方法を見つけたとします。この発明に関する特許(国内)を申請する際に、より好ましい「発明の名称」は次のどちらでしょうか。

a. 新しいAを出発原料とするB触媒を用いるCの製造方法
b. B触媒を用いるAを出発原料とするCの新しい製造方法

 本質が直近、つまり、「より本質的な修飾語はより近くに置く」に従うと、まず特許出願で最重要の新規性を示す「新しい」が製造法の直前におかれ、次に原料、手段、の順に近くに置かれるとb.のようになります。一方、a.は原則を無視して並べたものですが、これだと{[(新しい→A)を出発原料とする]→B触媒}を用いるCの製造方法、のように誤解されるリスク(トラップリスクと呼ぶことにします)があります。この表現だと、新しいのはAという物質で、そのAがCではなくBの原料ということになってしまいます。あくまでa.の語順で通そうとするなら、「新しい、Aを出発原料とする、B触媒を用いるCの製造方法」のように読点を打たなければならず煩雑になります。結論として、bのように本質的な塊を順番に大きくしていくことで、結果的に意味の誤解されにくい安全な構造が出来上がります。ちなみにb.を英訳すると、「A new method of synthesis of C from A (by) using catalysis B」となり、本質直近の原則にきちんと従います。
 上記はほんの一例だと思いますが、日本語の文章作成において、もし修飾語・修飾句を置く順序に悩んだら、「本質直近の原則」が役立つ場合があるかもしれません。ひょっとしたらこの原則には言語種によらない普遍性があるのかも・・・???。

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2009年3月14日 (土)

False Fish

名前に「fish」がつくのに、実際は魚類ではないものを集めてみました。-fishは魚類以外の水棲生物も表すようです。

<単語>
crawfish ザリガニ/裏切り者・しりごみをする人
crayfish ザリガニ
cuttlefish イカ(とくにコウイカ:体内に甲のあるイカ
))
 *日本語ではイカを「墨(ぼくぎょ)」と表現することがある。
devilfish タコ・イトマキエイ(生物学上)
fish 
*可算 (俗)大酒飲み/カモ/変なヤツ
 ex. as drunk as a fish (泥酔して)
jellyfish クラゲ/煮え切らない人
shellfish 甲殻類・貝
starfish ヒトデ 

*fishと同様、通常、複数形は~fish、特に1匹1匹を話題にする場合や種類を問題にする場合は~fishesとなる。

<イディオム>
have other fish to fry 他にもっと重要なことがある
kettle of fish 面倒な事/(考慮中の)問題・事態 

 *英国の「鮭の釜ゆで」争奪の逸話に由来
 *反語的にpretty [fine, nice] をつけて「とても面倒な事
 *another、differentをつけて「別問題、別の物・人
neither fish nor fowl 得体の知れないもの(人)

 *原形は「neither fish, flesh [fowl], nor good red herring
 中世3階級の食物→僧侶:fish、一般人:flesh, fowl、貧民:red herring
 どの階級にも属さない→得体の知れない人・もの、となる。

 「fish」自体にはあまりいい意味がないようです。そういえば、ドラマ「Ally McBeal」の中で、Ling WooがRichard Fishとの初対面で「Fishって変な名前!」と言っていたのを思い出しました。MONEY命!のFishに「カモ」の意味があるのはちょっと笑えます。

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2009年3月 8日 (日)

False Negative

ある一定のパターンのリスクに名前をつけて注意を喚起することがあります。例えば、「サンキュー事故」。車に乗り、対向車線が渋滞している道路で右折待ちをしている時、対向車に道を譲られたため「ありがとう」と合図しながら急いで右折したところ、その対向車の死角(対向車線の道端等)から出てきたバイク等と衝突する事故のことです。このような事故を一言で「サンキュー事故」と呼称することで運転者に注意を促すわけです。
 英語でも、誤解のリスクを低減するために、false negative(偽否定)と呼ばれる接頭辞があります。その代表は「in-」です。このin-は元々ラテン語の接頭辞(あるいは単に単語の一部)由来で「~の中に、~の上に」という意味などをもっていましたが、ずっと後になって英語ではなぜか「否定の接頭辞」としても使われるようになりました。このため、両者が混在する現代では誤解が生じるわけです。
 日本語で考えると、例えば、「幸運」の対義語は「不運」ですが、「悪運」も間違いではありません。しかし、「悪運が強い」の悪運は「悪いことをする人の幸運」という意味で、「不運」とは別の言葉です。この場合の「悪」が偽否定といえます。
 ちなみに、「善心」の対義語は「悪心」と書いて「あくしん」と読みますが、悪心(おしん)と読めば「吐き気」を意味する別の言葉になります。

【false negativeの例
discharge (責務を)果たす(×chargeの否定=責務を課さない)
disseminate 普及させる(×seminare(L)の否定=苗を植えない)
dispart 分裂/分離する(させる)(×partの否定=1つにする)
dissoluble 溶解性の(×solubleの否定=不溶性の)
 *否定形はinsoluble 「不溶性の」
impart 分け与える/開示する(×partの否定=1つにする)
impassioned 情熱にあふれた(×passionの否定=冷静)
 *否定形はdispassionate 「冷静な」。
 
誤用だがimpassionateも「冷静な」として使われるケースあり(英辞郎)。
impeachable 告発すべき(×peach+ableの否定=密告すべきでない)
 cf. unimpeachableで「非の打ちどころのない」
indifferent 無関心の(×differentの否定=同じ)
infamous 悪名高い(×famousの否定=無名の)
inflammable 可燃性の(×flammableの否定=不燃性の)
 *否定形はnonflammable 「不燃性の」
ingenious 器用な・巧妙な(×geniusの否定=平凡な)
inhabitable 居住に適した(×habitableの否定=住めない)
irradiate (放射線を)照射する(×radiateの否定=(光/熱を)放射しない)

とくにinflammable を「不燃性の」と間違えると大変なことに!
 *in-とun-:明らかにラテン語起源ではない場合にはun-をつけることが多い(研究社英和大辞典1953)

参考:
<否定の接頭辞「in-」と語幹の結合規則>
の前→「im-」に変化(impossible等)
の前→「il-」、「ir-」にそれぞれ変化(irregular等)
つまり、mlr の場合 imm-、ill-、irr- と文字がダブります。

<注意したい否定の接頭辞>
interested ①興味がある、②私心のある の否定形はそれぞれ異なります。
uninterested 無関心な
disinterested 公平な

誤用だがdisinterestedも「無関心な」として使われるケースあり(英辞郎)。

unstudied (学んだのではなく)自然と身に備わった
 ex. unstudied charm 自然な魅力
 ⇔studied ①熟慮の上の②わざとらしい

 上記のunstudiedは②の否定形です。このように、もとの単語に「かくれネガティブ」的な意味がある場合には、その否定形が意外なプラスのイメージを持つので要注意です。

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