« Devil(revised) | トップページ | 「as ~ as」構文の解釈 »

2009年2月14日 (土)

discharge

次の名詞句は①、②のどちらを意味するのでしょうか?

discharge of the debt
 ①債務の免除
 ②債務の履行

語形成から考えると「discharge」(名詞)の意味は2つに大別できます。
chargeの逆の行為<dis(否定)+charge(様々な強制・束縛)
責務遂行/債務履行<dis(分解)+charge(責務・債務)

①の概念は一言で表せば「解放」。何から解放されるかでさまざまな意味になります。例えば、退院・除隊・解雇・放出・放電・発射などなど。上のクイズでは「負債状態からの解放」で「免除」になります。一方、②は、charge=強制・束縛の一形態である責務や債務を「分解」してなくすことから「責務の遂行/債務の履行」になります。つまり、クイズの答えは①、②のどちらも正解で、文脈によってまるで逆の意味になります。

●「動詞のdischarge」の場合には構文で①②の見分けが可能です。
①の構文
discharge someone from [of] the obligation/responsibility/debt
 義務責任債務から免除する
②の構文
discharge the [one's] obligation/responsibility/debt
 義務責任債務遂行/履行する

さて、②の意味のdischargeの語形成についてもう少し考察してみます。イメージ的には「責務・負債という塊を分解して終わせる」ですが、ちょうど、仕事という塊にへこみ=dentを与えるという意味の「make a (good) dent in ~ (仕事)が少し(大いに)はかどる」と概念がダブります。日本語(口語)の、仕事を敵に見立てた「仕事をやっつける」という言い方にも少し通じるものがあります。
ここで、②の「dis-」を否定の接頭辞と考えてしまうとまるで逆の意味の「免除(=①)」になってしまうことから、②のdischargefalse negative(偽否定)の1つといえます。似た例としては、dissoluble(溶解性の)があります。この「dis」も「分解系のdis」で物質が物理的に分解して溶ける様子を強調していますが、soluble(溶解性の)の否定だから「不溶性の」と考えてしまうと意味が逆になってしまいます。ちなみに、不溶性を表す形容詞はinsolubleとなります。

以上、dischargeの語形成についての私なりの解釈でした。

cf. 接頭辞「dis」の関連記事

|

« Devil(revised) | トップページ | 「as ~ as」構文の解釈 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: discharge:

« Devil(revised) | トップページ | 「as ~ as」構文の解釈 »