頭文字語と頭字語
最近、「黒単(第2版)(三修社)」を購入しました。語源タイプの参考書ですが、内容が深く読み物としてもなかなか面白い本です。その中で、なるほどと思った単語の1つにradar(レーダー)がありました。私はつづりをraderと思い込んでいました。しかもradarが頭字語(acronym)だったという事実も知りませんでした。以下、記載されていた頭字語の一部を示します。
・radar(レーダー、電波探知機):radio detecting and ranging(p.104)
・sonar(ソナー、音響探知機):sound navigation and ranging(p.102)
・scuba(スキューバ):self-contained underwater breathing apparatus(p.103)
ということは、laser(レーザー)あたりも・・・と思って調べてみたらこれもやっぱり頭字語でした(<light amplification of stimulated emission radiation)!その他のacronymの例としてはタバコのMarlboro(<Man always remember love because of romance only.)があります。
一方、これらの頭字語(acronym)と似た略語(abbreviation)に頭文字語(initialism)があり、こちらはU.S.A.やU.N.などのようにアルファベットをそのまま発音します。言ってみれば、「頭字語=頭文字語の高級なもの」で、概念的には頭文字語は頭字語を含む(initialism⊇acronym)としてよいと思います。
実は、これら2つの略語について、私自身はこれまで区別していませんでした。調べてみるとメディアでも混同されていることが多いようです。一例を示します(誤→正の順)。
・「黒単(第2版)」(三修社)
p.103の8,11行目:acronymの項でinitialismのQ.E.W.やU.N.を紹介
p.104の2行目:頭字語initialism(p.59)→頭字語acronym(p.102)
・「ネイティブの「造語力」を身につける!」(国際語学社)
p.154,156:頭文字語→頭字語の誤り
・「ものしり英語塾」,2007.12.12放送(マーシャ先生)
BTW, FYI, JICなどのネット語(Netspeak)をacronymとして紹介
→initialismの誤り
ということで、ここで両者を確認の意味でまとめてみます。
●initialism(頭文字語):各単語の頭文字(initial letter/word)をつなげたもので、アルファベットを一つずつ発音するもの。最近ではネット語(Netspeak)で多用されている。
例:GP(=general practitioner):一般開業医、RN(=registered nurse):正看護婦、3R's
●acronym(頭字語):頭文字語の中でも、とくに一つの単語のように発音が可能なもの。
例:NASA(=National Aeronautics and Space Administration):米航空宇宙局
ちなみに、acronymの語源は、acro(先端・頂点・高所)+nym(=name)→「単語の各先端を集めてできた名詞」です。頭文字を並べただけのinitialismの-ism(~表現)とは違い、-nymに「単語化されている」という特徴がよく現れていると思います。
※頭(文)字語の元の意味が知りたい時に便利な検索サイトがありました。
→Acronym Finder
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