あさみとトム(right編)
(以下のストーリーはフィクションです)
あさみは、前回のようにトムが仕事中にフッといなくなるクセがどうしても気になっていました。たぶん、それはそっとしておくべき部分なのだと頭ではわかっているのですが、一体どこで何をしているのか? あさみは知りたい気持ちを抑えきれずに、自分がトムを尾行してしまう前に、まず同僚としてのアドバイスが先決だと心を落ち着かせ、トムに話しかけました。「トム、仕事中に時々どこへ行っているの?上司もあなたが捕まらないことが多いってイライラしているみたい・・・」。するとトムは・・・
Tom: Thank you for asking, Asami. Your heart is in the right place.
Asami: What do you mean by that?
Tom: [Sigh] My left hand doesn't know what my right hand is doing.
Asami: What? You mean you're right-handed?
トムはなんとも言えない表情で立ち上がり、左手を軽く振りながらその場を去りました。右とか左とか、何だかはぐらかされた気がしてちっともわかんないあさみがつぶやきます。「やっぱりアレしかないか・・・」。今の会話をあさみの理解した通りに訳すと以下のようになります。
トム:気遣ってくれてありがとう、あさみ。君の心臓は右側にあるんだね。
あさみ:それってどういうこと?(心臓は普通左側よね、それってつまりあたしが人間味がないっていう冗談ってこと?)
トム:[ため息] 僕の左手は右手が何をしているかわからないんだ。
あさみ:何?右利きだってこと?
●heart is in the right place(やさビジ1997年12月号)
「やさビジ」本文では、上司がbossyだけど「気風がいい」という流れで使われていました。今回のトムの発言は「あさみはちょっとコワい面があるけど悪気があるわけじゃない」というニュアンスで使ったのかもしれません。
●The left hand doesn't know .... (ビジ英10月号,p.52)
ビジ英本文では、「the left hand and the right hand wreaking chaos(混乱をもたらしている右手と左手)」という表現が出てきました。このchaosの発音はケイオスで、日本語の「カオス」とはだいぶ違いますね。
それでは、時間を巻き戻して仕切り直しです。
Tom: Thank you for asking, Asami. Your heart is in the right place.
Asami: My heart is on the left side in the chest, though. [Laughter]
Tom: Right. [Laughter] My left hand doesn't know what my right hand is doing.
Asami: Oh? You're ambidextrous, aren't you? [Laughter]
この会話を日本語に訳すとジョークではなくなってしまうのですが、説明付きであえて訳してみます。
トム:気遣ってくれてありがとう、あさみ。やさしいんだね。
あさみ:(ハート=心がright placeにある、に対して)ハート(=心臓)は胸の左側だけどね。[笑]
トム:たしかに。[笑] 自分でも自分が何をしているのかわからないんだ。
あさみ:(左手が右手のすることについていけない、と解して)あれ? トムって両利きじゃなかったっけ?[笑]
こうしてあさみとトムはスムーズに本題へと入っていきました・・・。
さて、現実のあさみは悩んでいるようです。トムとどうもしっくりいかないのは、自分の英語力に問題があるのか、それとも自分の激しい勘違い癖のせいなのか?あさみはしばらく考えた末、つぶやきました。「こういう時はやっぱり・・・」
(To be continued...)
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