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2007年4月25日 (水)

crux

「ビジ英」でこれまで何度か登場した crux (2007年4月号p.14etc.)ですが、昔、杉田先生が crux とは「十字架のことです」とおっしゃっていたことがありました。そのときは「crux of the matter(物事の核心)」の説明でしたがあまり気にとめていませんでした。しかし、最近「crucible(るつぼ/試練)」という単語を知り、この語根「cruci-」が「crux」由来であることから、再び「crux」に興味を持ちました。
 語根「cruci」はラテン語の「crux」に由来し、その意味は「十字架/苦痛」。十字架と苦痛が同じラテン語の単語で表されるのは興味深いところです。推測ですが、始めは、crux=「十字架」で、おそらく十字架の持つ深刻なイメージから A「苦痛・試練」B「最重要」という2つの概念が派生し、さらにA「苦痛・試練」からそれにさらされるC「るつぼ」へと意味が展開したと考えました。実際には、crux はそのまま英語として残りつつも、cross (十字架)の方が一般的となりました。一方、crux の x が ci に変化してcrucial,crucible が派生。この「x → c(i) 」の変化については、有名な賛美歌の「Ave verum corpus」の歌詞(ラテン語)にも in cruce(十字架に)という表現(cruce crux の奪格)があるようにラテン語的にはわりと自然なのかもしれません。以下、関連語をまとめてみます。

cross 「十字架/苦痛・試練(A)etc.」
crux 「物事の最重要点(B)/難問・難題(A)/十字架」
crucial 「とても重大な(B)/致命的な(A+B)/苦しい・厳しい(A)」
crucible 「るつぼ(C)/試練(A)」
crusade(r) 「十字軍(兵士)/撲滅・反対・改革運動」

Aの概念で考えれば、crucial crucible の形容詞形と見なすこともできます。
最後に、押韻の効いた諺を1つご紹介します。
No cross, no crown. (苦難なくして栄冠なし) No pain, no gain. に似てますね。

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