« Yes! プリキュア5(ナッツ編) | トップページ | 意外シリーズ(語句編・その2) »

2007年4月11日 (水)

Blue Moon

once in a blue moon ごくまれに(ビジ英1月号p.69.3(b))
 この表現の核となるblue moon の由来は諸説あります。しかし、辞書によく載っている説明(後述)のように「blue moon」を「稀な現象」の代名詞としてとらえると、once in ~とのつながりが不自然な気がします。というのも、once in a lifetime(一生に一度の・またとない)やonce in a while(たまに、時々)のように、in の後は時間の概念が来るのが自然と考えられるからです。実際、in a blue moon は口語で「とても長い間」という意味があり、once in a blue moon は素直に「とても長い間の一回という頻度で」と解するのが自然だと思います。
 ここで、このblue moon について「英語イディオム由来辞典(三省堂)」などを参照しながら、私なりの解釈を加えて時系列に整理してみます。下線を引いた箇所はその由来辞典の中にあった記述です(明らかな誤植は訂正しました)。

<16世紀頃>次のような言い回し(古語のまま抜粋)が諺的に使われていた。
Yf they saye the mone is belewe, We must beleve that it is true.
 人がもし月が青いと言うのであれば、それ(=話題にしている事柄)が正しいと信じなければ。(=絶対信じない)
 →「月が青いこと」が「ありえないこと」の比喩として使われている。

The moone is made of a greene cheese.
 月はグリーンチーズでできている。<J. Heywood, Proverbes, Part ii. Chap. vii. (1546年)
 →このgreen not aged の意味で、月の表面が「熟成させない(=生)」チーズの切り口に似ているところからできた迷信。グリーンチーズをブルーチーズと混同するためか、blue moon の説明に持ち出されることがあるが直接的な関連は薄いと思われる。

<19世紀>
till a blue moon 「月が青く見えるときまでずっと→決して~(ない)」という表現が存在。
⇒これが転じてa blue moon のみで「とても長い間」、once in a blue moon「とても長い間の一回→非常にまれに」をそれぞれ意味するようになった?

1883年、クラカタウ火山(島)の大爆発で「青い月」現象発生。このときすでに「once in a blue moon」は存在?ちなみに当時、火山灰の乱反射により異様な夕焼け空が世界各地で観測され、それがムンクの「叫び」(1893年)に描かれているという説もある(<米の天文学雑誌「Sky&Telescope」)。

◇19世紀後半、米でカクテル「Blue Moon」が誕生。
 カクテル言葉は「できない相談」。意味が後づけかどうかは不明だが、ここでもやはり「blue moon」が非現実的という意味で使われている。ちなみに実物のカクテルは淡い紫色。

<20世紀>
・「Blue Moon」(Elvis Presley, 1954年)など、孤独や悲哀の象徴として流行歌で盛んに使われ出す。
・1980年以降、「同じ月に現れる2度目の満月」の意味として米で一般化(「Sky&Telescope」由来)。

 以上のようにblue moon の出現経緯はやや複雑なため、辞書によっては事実関係を混同していることがあるようです。なお、時々出てきた「Sky&Telescope」という米の天文学雑誌は「○○教授が、ムンクが『叫び』を描いた場所をオスロ市内で特定した」という記事や「blue moon の言葉の由来は『メイン州農民年鑑』にある」と紹介したりと、なかなかユニークな学術雑誌だったようです。
 ちなみに私がBlue Moon と聞いて思い出す曲は「September Blue Moon」(松任谷由実 ,1988年)です。

|

« Yes! プリキュア5(ナッツ編) | トップページ | 意外シリーズ(語句編・その2) »

コメント

辞書の引き方について参考になる文章です(沖縄大学の関山先生)。辞書の選び方から電子辞書の使い方までかなり詳しく書いてありますよ。ホームページはhttp://sekky.tripod.com/jisho.html
です。

投稿: hide | 2007年4月13日 (金) 00時26分

投稿: hide | 2007年4月13日 (金) 00時29分

hide さん、お役立ち情報ありがとうございます。
愛用していた電子辞書が破損したため購入の際にぜひ参考にさせていただきます。
最近気になる辞書と言えば、やや専門的な流行語を集めた「Buzz Words Dictionary」。ビジ英の杉田先生も愛用しているとか。その他、私が辞書にとくに求めているものは、collocation(連語)とconnotation(言外の意味)です。

投稿: やまちゅう | 2007年4月14日 (土) 09時16分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Blue Moon:

« Yes! プリキュア5(ナッツ編) | トップページ | 意外シリーズ(語句編・その2) »